日本薬理学雑誌
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特集 精神疾患治療薬の研究戦略
ストレス関連因子を標的とする抗うつ薬創製のためのアプローチ
飯島 通彦島崎 聡立吉水 孝緒唐沢 淳一茶木 茂之
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2010 年 136 巻 3 号 p. 137-140

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抄録
現在,うつ病治療の第一選択薬として,選択的セロトニン再取り込み阻害薬やセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬が使用されているが,これらの薬剤は,薬効および副作用の面で改善すべき問題点が残されており,必ずしも治療満足度が満たされているわけではない.これらの問題点を克服するために,従来の「モノアミン仮説」に基づいた薬剤開発から,より疾患の原因に根ざした薬剤開発を行うことが重要であると考えられている.我々は,新規抗うつ薬創製のためのアプローチとして,うつ病の発症に深く関与すると考えられているグルタミン酸神経系,特にグループII代謝型グルタミン酸(mGlu)2/3受容体に注目した創薬研究を行っている.本稿では,mGlu2/3受容体拮抗薬のうつ病動物モデルにおける効果を概説する.特に,既存の抗うつ薬が奏効しない条件下での学習性無力試験におけるmGlu2/3受容体拮抗薬の作用および尾懸垂試験におけるmGlu2/3受容体拮抗薬の抗うつ作用の作用機序の検討結果を紹介し,mGlu2/3受容体拮抗薬の治療抵抗性うつ病患者への有効性について考察する.
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© 2010 公益社団法人 日本薬理学会
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