日本薬理学雑誌
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総説
マストパランの薬理活性:シグナル伝達への関与
中畑 則道須釜 淳
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2010 年 136 巻 3 号 p. 145-149

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抄録
スズメバチ毒素のマストパランはヒスタミン遊離活性を指標に見出された14個のアミノ酸残基からなるペプチドである.マストパランは三量体Gタンパク質の活性化作用を有し,活性化されたGタンパク質共役型受容体の如く振る舞うことから,薬理学的ツールとして貴重な存在である.しかしながら,マストパランには三量体Gタンパク質の活性化作用以外の作用も知られており,細胞膜リン脂質との相互作用による細胞膜におけるポアの形成は細胞障害性を示すことも知られており,注意を必要とする.その他にも,ガングリオシドのネガティブチャージとの結合や,タンパク質の脂溶性の部分と結合して,タンパク質機能を変化させる.いずれにしても,マストパランは強い生物活性を持ちシグナル伝達に影響を与える,魅力的なペプチドである.
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© 2010 公益社団法人 日本薬理学会
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