日本薬理学雑誌
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特集 漢方薬理学:臨床医学的エビデンスから薬理学的エビデンス
漢方のCAMからの脱出:大建中湯を中心に
河野 透
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2011 年 137 巻 1 号 p. 13-17

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抄録

植物由来物を利用した医薬は代替補完医療complementary and alternative medicine(CAM)の枠組みの中にあり,エビデンス重視の現代医療では異端的扱いであった.世界中から日本の伝統的医薬である漢方薬が高品質および標準化されている点に注目され始めた.その契機となったのが大建中湯の薬効機序に関する分子レベルの研究である.大建中湯は3つの生薬(山椒(さんしょう),乾姜(かんきょう),人参(にんじん))が含まれ,術後の腸管運動麻痺改善,および腸管血流改善作用が,大建中湯の主要成分であるhydroxy-α-sanshool,6-shogaolを中心にカルシトニン・ファミリー・ペプチドを介して発現していることが明らかとなった.この研究を契機に全国の大学病院で二重盲検プラセボ比較試験が開始された.同時に米国でも臨床試験が行われ大建中湯の有効性がいち早く証明され漢方薬のCAMからの脱出が始まった.

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