2012 年 139 巻 5 号 p. 211-214
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA: Pharmaceuticals and Medical Devices Agency)は「健康被害救済」・「審査」・「安全対策」の3つの業務を行っている.これは,医薬品や医療機器などの開発から使用までの全般に関わるセイフティ・トライアングルという日本独自の素晴らしい仕組みである.この仕組みの下,より有効でより安全な医薬品等を待ち望む患者のために,PMDAは,その使命を対外的に伝えるとともに,職員が心を一つにして目標に向かって日々邁進する誓いとして理念を定め,日々その業務に取り組んでいる.また,科学的な判断を基調として業務を推進するため,PMDAではレギュラトリーサイエンスの推進にも取り組んでいる.レギュラトリーサイエンスとは社会の調和のための学問であり,アカデミックサイエンスを実社会に適応させることで,社会に貢献する学問でもある.本稿では,PMDAの現状と今後の方向性,レギュラトリーサイエンスの推進について概説する.