抄録
日本におけるがん分子標的薬の開発の促進および患者の負担・不利益の軽減のために従来の慣習にとらわれることなく,ファースト・イン・ヒューマン(First in Human: FIH)試験に健常志願者の組み入れを提案する.分子標的薬の作用機序・毒性は多彩であるので薬の性質,毒性の強さ,性状や作用機序などを総合的に判断することが必要である.その結果により,単回投与を健常者で行い,反復投与は患者で行うなどの組み合わせ(ハイブリッド法)がFIHの好ましい手法として選択されよう.企業・アカデミア・医薬品医療機器総合機構(PMDA)の3者により,より良いフレキシブルな話し合いを重ねることが,日本におけるFIHのレベルアップに不可欠であろう.