日本薬理学雑誌
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総説
『カルモジュリンと高血圧症メカニズムの新展開』 高血圧症の病態を制御する新たなカルモジュリン関連タンパク質の血管系における機能
臼井 達哉岡田 宗善原 幸男山脇 英之
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2013 年 141 巻 2 号 p. 85-89

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抄録

Ca2+結合タンパク質であるカルモジュリン(CaM)はCaM依存性(関連)タンパク質の機能調節を介して筋収縮,免疫応答,代謝,神経成長といった様々な細胞機能に影響を与える.最近,CaMおよびCaM依存性プロテインキナーゼ(CaMK)IIが心血管疾患の病態進展に関わるという報告がなされた.高血圧症の病態ではTNF-αやIL-6といった炎症性サイトカインの血中濃度が上昇し,活性酸素種(reactive oxygen species:ROS)産生を介して血管の炎症性反応が亢進する.しかしながら,血管炎症の観点からCaM関連タンパク質の高血圧症進展に及ぼす影響はほとんど検討されていない.本総説ではCaM関連タンパク質の中でCaMKs(CaMKI,CaMKII,eukaryotic elongation factor(eEF)2 kinase(CaMKIII),CaMKIV)とCaMKスーパーファミリータンパク質(death associated protein kinase(DAPK)ファミリータンパク質,CaM serine kinase(CASK),checkpoint kinase(Chk))をとりあげ,これらの機能を心疾患における役割と血管炎症を介した高血圧症の病態制御機構に焦点を当て概説する.今後,本総説で紹介したCaM関連タンパク質をターゲットとした薬物の開発がACE阻害薬,カルシウム拮抗薬といった既存の降圧薬では治療が難しい患者に対しても有効な治療戦略になることが期待され,さらなる病態生理的役割の解明が重要になると考えられる.

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