抄録
ポジトロン断層撮像法(PET:positron emission tomography)は,医療現場でがんや脳機能等の診断に使われている短半減期の放射性診断薬を用いた核医学診断技術である.動物でも測定可能なことから,非臨床と臨床データをブリッジできるトランスレーショナル研究の有力なツールとして注目されている.創薬への利用としてはターゲット臓器への到達薬物量の定量(薬物動態試験)や,受容体占有率試験による有効投与量の推定・POM(proof of mechanism)の取得(薬理試験),開発候補品の他剤との比較・差別化等に利用可能であり,最近ではさらに安全性試験やコンパニオン診断薬への応用も検討され始めている.当社では長年国内外のアカデミア,異業種とのオープンイノベーションや国家プロジェクトを通じてPETの要素技術開発や人材育成に取り組み,国内製薬初の自社PETイメージング研究施設と組織を構築して研究・開発を推進中である.本稿ではPETの創薬応用に向けた当社の取り組みについて概説する.