Extracellular signal-regulated kinase(ERK)5は1995年に発見されたmitogen-activated protein kinase(MAPK)ファミリーに属するセリン・スレオニンキナーゼである.ERK5の活性化機構とその生理的な役割についての研究は,同じMAPKファミリーに属しERK5と相同性を有するERK1/2の研究と比較して大きく遅れていた.しかし,近年,ERK5のリン酸化特異的抗体,キナーゼ阻害薬およびノックアウトマウスなどが普及したことから,ERK5に関連する研究報告は増加の一途をたどり大きく進展した.本稿では①ERK5阻害薬,②低分子量または三量体Gタンパク質を介したERK5の活性化機構さらに③神経細胞・グリア細胞におけるERK5の役割に関する最近の知見を筆者らの実験結果とともに紹介し議論する.