日本薬理学雑誌
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総説
歯周炎薬物治療のパラダイムシフト
大島 光宏山口 洋子
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2013 年 141 巻 6 号 p. 314-320

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抄録

成人の約8割が罹患しているとされる歯周病は歯肉炎と歯周炎に分けられる.歯肉炎の原因は主に細菌であり治療可能であるが,歯が抜ける歯周炎は,原因が未だ不明であり,有効な薬物治療法も確立されていないなど問題が残されている.筆者らは最近,歯肉上皮細胞と組み合わせてコラーゲンゲル三次元培養で検討した結果,重度歯周炎罹患患者の歯肉より,コラーゲンを極度に分解する「アグレッシブな線維芽細胞」を分離し,この細胞が歯周炎の原因のひとつである可能性が高いことを見出した.本稿では,この着想に至った経緯と歯周炎をコントロールできるような治療薬の探索の試みについて論述する.

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© 2013 公益社団法人 日本薬理学会
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