抄録
協和発酵キリンは,1996年,東京大学・松島らとの共同研究を開始し,CCR4(CC chemokine receptor 4)に対するマウスモノクローナル抗体を取得した.これをもとに,ヒト化モノクローナル抗体モガムリズマブを創製した.モガムリズマブは強い抗体依存性細胞傷害(ADCC)活性を付与する技術POTELLIGENT®を利用して産生された世界初の抗体医薬品である.我々は,名古屋市立大学・上田(現 愛知医科大学),石田らと開始した共同研究により,成人T細胞白血病リンパ腫(ATL)の約90%にCCR4が発現していること,またCCR4発現がATLの独立した予後不良因子であること等を見出し,ATLの治療標的としての可能性を明らかにした.さらに,モガムリズマブがATL細胞に対してADCCを発揮すること,担がんモデルマウスで抗腫瘍効果を発揮することなどを示し,モガムリズマブがATLの治療薬になりうることを明らかにしてきた.これら非臨床の結果を受けて,モガムリズマブの第I相臨床試験,さらに,CCR4陽性の再発再燃ATL患者での第II相臨床試験(モガムリズマブ1.0 mg/kg,1週間間隔で8回静脈内投与)が実施された.26例中13例で腫瘍の縮小効果が認められ(奏効率50%),有効性が確認された.発現した主な副作用は,「発熱」,「悪寒」等を主徴とする「注入に伴う反応」および「リンパ球数減少」,「好中球数減少」,「血小板数減少」等の血球数減少並びに「発疹」であった.これらの試験成績をもとに,2011年4月に医薬品製造販売承認申請を行い,翌年3月に承認を取得した.