日本薬理学雑誌
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特集 漢方薬の臨床効果に関する薬理学的エビデンス
『ケイガイによるAQP3発現亢進作用』 ケラチノサイトのアクアポリン-3発現に対する荊芥エキスの作用とその薬理学的意義
礒濱 洋一郎
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2014 年 143 巻 3 号 p. 115-119

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抄録

アクアポリン3(AQP3)は主に皮膚のケラチノサイトに存在する水チャネルであり,皮膚の保湿のみならずケラチノサイトの遊走にも関わることが示されている.従って,AQP3の発現を促進する薬物は皮膚疾患時の乾燥症状や外傷の治療薬としての応用が期待できる.我々は,種々の生薬についての検討から荊芥(ケイガイ)に著明なAQP3発現亢進作用を見出した.ケイガイエキスはこの本作用を通じて,in vitroでのケラチノサイト遊走能を促進するとともに,in vivoでも実験的に形成したマウスの創傷治癒を促進することが分かった.これらの作用は皮膚科領域で用いられる漢方方剤にケイガイが含まれる薬理学的意義を示唆するとともに,これらの漢方薬の作用を応用した新たな治療薬の開発の可能性を示している.

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© 2014 公益社団法人 日本薬理学会
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