抄録
γ-アミノ酪酸(GABA)は,多くの神経・精神疾患に関与していることが報告されているが,その調節の一端を担うGABAトランスポーターについては,そのサブタイプに対する選択的な阻害薬が少ないことから,生理学的な役割について不明な点が多い.特に,mGAT2(BGT-1)は,脳の正常細胞での発現が少なく,これまであまり研究されて来なかった.最近の報告から,mGAT2(BGT-1)がストレスなどの障害時に発現が増加することから注目が集まってきている.障害時におけるmGAT2(BGT-1)の生理的役割の解明は,種々の疾患の分子メカニズムの解明や,新たな神経・精神疾患の治療戦略になると期待される.