日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
新規2型糖尿病治療薬イプラグリフロジンL-プロリン(スーグラ®錠)の薬理学的特性および臨床試験成績
高須 俊行高倉 昭治加来 聖司
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2015 年 145 巻 1 号 p. 36-42

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抄録

イプラグリフロジンL-プロリン(以下イプラグリフロジン,商品名:スーグラ®錠)は,選択的sodium/glucose co-transporter(Na+/グルコース共輸送体:SGLT)2阻害薬として2014年1月に国内で初めて承認された新しい糖尿病治療薬である.腎近位尿細管においてグルコースの再吸収を担う糖輸送体であるSGLT2を阻害し,血液中の過剰なグルコースを尿糖として体外に排泄することによって高血糖を是正する.イプラグリフロジンはヒトSGLT2強制発現細胞を用いた実験において,SGLT2に選択的な阻害作用を示すことが確認された.マウスおよびラットへ単回経口投与したところ用量依存的に尿糖排泄促進作用を示し,また2型糖尿病モデルマウスへ4週間反復経口投与したところ尿糖排泄促進作用に加え,血糖値およびヘモグロビンA1c(HbA1c)低下作用を示した.さらにメトホルミンまたはピオグリタゾンとの反復併用投与により各々の単独投与よりも強いHbA1c改善作用を示した.高脂肪食を負荷して惹起した肥満モデルラットにおいてイプラグリフロジンは体重増加抑制作用および脂肪量減少作用を示した.2型糖尿病患者を対象とした国内第Ⅲ相臨床試験において,イプラグリフロジンは2型糖尿病患者のHbA1cおよび空腹時血糖値を改善し,優れた有効性および安全性を示した.低血糖の発現率は,イプラグリフロジン群とプラセボ群で同程度であった.以上,非臨床薬理試験および臨床試験の結果から,イプラグリフロジンはSGLT2阻害というインスリン作用とは異なる作用機序により血糖降下作用を発現し,2型糖尿病に対して治療効果を示す薬剤であることが示された.選択的SGLT2阻害薬イプラグリフロジンは2型糖尿病患者におけるより質の高い血糖管理の実現に貢献できるものと期待される.

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