日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
新規C型肝炎治療薬シメプレビル(ソブリアード®カプセル100 mg)の薬理学的特徴および臨床試験成績
梛野 健司堤 健一郎石堂 美和子原田 寧
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2015 年 145 巻 2 号 p. 92-99

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抄録

シメプレビルは,大環状構造を有する第2世代のプロテアーゼ阻害薬であり,ペグインターフェロン(PegIFN)およびリバビリン(RBV)と併用して,C型肝炎ウイルス(HCV)genotype 1の慢性感染の治療に使用する.本薬の作用機序は,HCVの非構造タンパク質(NS)の1つであるNS3/4Aプロテアーゼに結合し,NS3/4Aプロテアーゼが関与するHCVタンパク質のプロセッシングおよびRNA複製を阻害して抗HCV活性を発揮する.HCVレプリコンに対するシメプレビルのin vitro抗HCV活性は,HCV genotype 1aおよびHCV genotype 1bに対して同程度の活性を持ち,第1世代プロテアーゼ阻害薬であるテラプレビルと比較して強い.シメプレビルの抗HCV活性は,インターフェロン(IFN)またはリバビリンとの併用により,相乗または相加作用を示した.日本で実施したHCV genotype 1・高ウイルス量のC型慢性肝炎患者を対象とした臨床試験において,シメプレビル100 mg 1日1回をPegIFNα-2a/2bおよびRBVと併用投与したときの治療終了後12週時の持続的ウイルス陰性化(SVR12)率は,初回治療例および前治療再燃例で約90%,前治療無効例で約40~50%であり,安全性および忍容性は良好であった.C型肝炎治療ガイドラインにおいて,シメプレビルとPegIFNおよびRBVの3剤併用療法は,HCV genotype 1・高ウイルス量のC型慢性肝炎患者に対するIFN-based therapyの第1選択薬とされており,シメプレビルはC型慢性肝治療に大きく貢献できる薬物である.

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© 2015 公益社団法人 日本薬理学会
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