日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
C型慢性肝炎経口治療薬ダクラタスビル塩酸塩(ダクルインザ®)およびアスナプレビル(スンベプラ®)の薬理学的特性と臨床効果
天野 学石川 博樹
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2015 年 145 巻 3 号 p. 152-162

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抄録

ダクラタスビルとアスナプレビルの併用療法は,genotype 1のC型慢性肝炎およびC型代償性肝硬変を適応症とする日本で初めてのインターフェロン(IFN)を使用しない経口抗ウイルス薬のみによる治療法である.ダクラタスビルは,C型肝炎ウイルス(HCV)の非構造タンパク質5A(NS5A)複製複合体阻害薬であり,アスナプレビルは,第二世代の非構造タンパク質NS3/4A(NS3/4A)プロテアーゼ阻害薬である.HCVレプリコン細胞を用いたin vitro試験において,ダクラタスビルおよびアスナプレビルはいずれもHCVの広範なgenotypeに対して阻害活性を有し,特にgenotype 1のHCVレプリコンに対し強力な阻害活性を示した.また,両薬のHCVに対する選択性は極めて高く,細胞毒性は低いことが示された.ダクラタスビルとアスナプレビルの併用により抗ウイルス活性の相加または相乗効果が認められたが,細胞毒性の増強はみられなかった.Genotype 1bのC型慢性肝炎患者を対象とした国内臨床試験では,前期第Ⅱ相試験に引き続き実施した第Ⅲ相試験において,ダクラタスビル60 mgの1日1回とアスナプレビル100 mgの1日2回で24週間併用投与した結果,高い抗ウイルス効果が確認された.また,ダクラタスビルとアスナプレビルの併用療法は,年齢,性別,肝硬変の有無,IL28Bの遺伝子多型やウイルス量等の背景因子による治療効果に差が認められず,いずれの患者集団に対しても優れた治療効果を示した.主な有害事象として肝機能障害を認めたが,検査頻度と中止基準を設定することで有害事象の管理を可能とした.安全性プロファイルは概して良好であった.ダクラタスビルとアスナプレビルの併用療法は,既存のIFNを含む治療が困難な患者やIFNを含む治療で十分な効果が得られなかった患者など,これまで有効な治療法のなかった患者に対して新たな治療を提供するものと期待される.

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