日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(7)オープンイノベーション(22)
世界に羽ばたく「薬都とやま」の実現を目指して~富山県における医薬品産業振興を目指した産学官の取組み~
藤岡 俊太郎坂西 義史上出 功宇於崎 博髙津 聖志
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2015 年 145 巻 6 号 p. 311-317

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抄録

富山県は,江戸時代に始まる配置薬業から続く国内でも有数の医薬品製造拠点であり,「くすりの富山」として全国的に知られてきた.美しく豊かな自然,地震や台風などの自然災害の少ない地理,陸海空にわたり整備された交通網などの強みにより,近年,医薬品の研究開発・製造拠点としてさらに注目が高まり,医薬品生産額は過去最高額を更新している.この富山の医薬品産業のさらなる飛躍を目指し,平成21年度と平成25年度に富山県医薬品産業活性化懇話会を設置し,富山県および本県薬業界がとるべき施策展開等の方向性について議論を重ねてきた.懇話会で取りまとめられた2つの報告書において,国内医薬品生産金額の日本一,さらには世界に羽ばたく「薬都とやま」の実現に取り組んでいくこととされ,具体的な戦略的取組みとして,①製剤技術力等の強化と関連産業等との連携,②情報発信と企業立地しやすい環境づくり,③国際化の推進,④人材の確保・育成が示されている.現在,富山県および本県薬業界では,これらの報告書の内容に基づき,産学官が連携した各種の取組みを進めるとともに,本年3月14日の北陸新幹線開業による首都圏との交通の利便性向上という機会も最大限活用して,医薬品産業の発展に取り組んでいる.


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