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日本薬理学雑誌
Vol. 147 (2016) No. 2 p. 107-113

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http://doi.org/10.1254/fpj.147.107

総説

動脈硬化の進行は,血管だけでなくその灌流する臓器の機能にも直接関わり,臓器障害を引き起こす.コレステロールと動脈硬化の関連は確立されており,中でも酸化などの修飾を受けた変性LDLが動脈硬化進行の重要な要因である.血管内皮の酸化LDL受容体LOX-1(lectin-like oxidized LDL receptor 1)は,変性LDLと結合することで血管内皮障害を引き起こし,動脈硬化性疾患の進展と発症を促進する.これまでの研究で,LOX-1は動脈硬化の初期段階から発現が上昇し,LOX-1の抑制により心血管疾患の症状を改善することが明らかになっている.最近の疫学調査により,血中のLOX-1リガンド(LOX-1 ligand containing apolipoprotein B:LAB)が動脈硬化性疾患の発症リスク評価に有用である可能性が高まってきている.また,ヒトの血液中に存在しLOX-1に結合する変性LDL様物質L5が明らかになり,L5がLOX-1を介してST上昇心筋梗塞(ST-elevation myocardial infarction:STEMI)の病態悪化に関与していることがわかってきた.このように内在性のLOX-1リガンドと疾患の関連が明らかになってきている一方,細胞膜上では,LOX-1がアンジオテンシンⅡ受容体のAT1と複合体形成をすることがわかってきた.これにより,細胞内シグナル伝達を介したLOX-1の作用については,AT1を介したアンジオテンシンⅡと似た形で機能する可能性が示唆される.

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