抄録
さまざまなインビボイメージング技術を用いた小動物イメージング研究が進行している.イメージング技術は大きく分けると解剖学的情報を与えるものと生体の機能情報を与えるものに大別される.X線CTや超音波画像は高い空間分解能を有し,解剖学的情報を与える.それに対し,放射性核種を用いるPETやSPECT,蛍光イメージングは機能情報を与えるイメージング技術である.MRIは従来解剖学的情報を与える装置として発展したが,近年では様々な撮像法が開発され一部の生体機能情報を得られるようにもなってきた.さらにはこれら装置を組み合わせた小動物用マルチモダルイメージングシステムも開発されている.また装置の発達と前後して各種のイメージングプローブも発達してきている.イメージングプローブは小動物専用というものではないため,小動物イメージングで成功したイメージングプローブを用いて大動物やヒトでのイメージング研究に移行しやすい.さらに今回は割愛するが,得られたインビボでの画像情報には本来目的としない情報もバックグランドとして必ず含まれている.したがって生の画像情報から目的とする特異的反応に関する情報のみを抽出しうる解析法も重要であり,装置,イメージングプローブ,解析法の三者がそろって初めて有効なイメージング研究の遂行が可能となる.各自の研究に対応して合目的的に方法論を選択することが重要である.