2016 年 148 巻 1 号 p. 14-17
近年,国際共同治験の増加に伴い,医薬品承認審査で評価する臨床データの多くは,日本人ではなく外国人データとなり,これらのデータに基づき日本人におけるベネフィットリスクをどのように評価することが適切であるのかは,レギュラトリーサイエンスにおける主要な検討課題の一つとなっている.また同様に,世界同時承認が現実化する中で,海外でもまだ十分な安全性情報が集積されていない新規医薬品について,迅速かつ適切に安全性を評価する仕組みづくりも重要な課題となっている.本稿では,医薬品開発の国際化が進む中で,医薬品の有効性及び安全性を適切に確保するために,レギュラトリーサイエンスの観点から現状と課題をご紹介し,今後の方向性について私見を述べることとしたい.