日本薬理学雑誌
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特集 加速する iPS 細胞の実用化研究
ヒトiPS細胞技術の実用化に向けたマイクロ流路デバイス
Marco LindnerGeorg Bauer
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2017 年 149 巻 3 号 p. 115-118

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抄録

ヒトiPS細胞が樹立されて以来,再生医療や創薬への応用を目指した研究が世界中で行われている.これらの実現には,ヒトiPS細胞を大量に培養し,分化させ,目的の細胞のみを選別する必要がある.培養から選別までには複雑な操作があり,コストもかかるためまだ実用化には至っていない.これらを簡便に行う手段の一つとしてマイクロ流路デバイスが注目されている.マイクロ流路デバイスは,時間やコストの低減,高い再現性,自動化の利点があり,細胞の培養や分離,濃度勾配の作製に使用されている.また,人工的に臓器を模倣することも可能であり,動物試験の代替法として薬剤のスクリーニングや安全性試験への応用も期待されている.本総説では,マイクロ流路デバイスにより可能となった最新のアプリケーションや,マイクロ流路デバイスに適した材料について解説する.

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© 2017 公益社団法人 日本薬理学会
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