日本薬理学雑誌
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特集:炎症を機転とした恒常性維持機構の破綻―免疫系細胞、がん組織、消化器系、循環器系からみた炎症性疾患の病態と制御―
eEF2K/eEF2シグナルの循環器,腫瘍,神経系疾患における病態制御メカニズムと治療・創薬標的としての提案
亀島 聡岡田 宗善山脇 英之
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2017 年 149 巻 5 号 p. 194-199

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抄録

Eukaryotic elongation factor 2(eEF2)はタンパク質翻訳過程においてペプチド鎖伸長を促進的に制御しタンパク質合成を促進する.このeEF2の機能はeEF2 kinase(eEF2K)により特異的に調節されており,翻訳開始因子とともに大部分のタンパク質合成を制御している.近年,様々な疾患の病態機序におけるeEF2K/eEF2シグナルの役割が報告されており,このシグナル経路がタンパク質合成だけでなく炎症性反応,細胞死,神経成長にも影響を及ぼす可能性が示唆されている.今後,eEF2K/eEF2は循環器,腫瘍及び神経系疾患に対する治療・創薬標的となることが期待される.

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