日本薬理学雑誌
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特集:進化する骨粗鬆症治療薬 国内患者1,300万人のQOL向上へ
骨吸収抑制薬関連顎骨壊死(ARONJ)の現状と今後の課題
高岡 一樹岸本 裕充
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2019 年 153 巻 1 号 p. 22-27

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抄録

近年,骨粗鬆症や骨転移を有するがん患者の治療に広く用いられているビスホスホネート(bisphosphonate:BP)による重大な副作用のひとつとして,難治性の骨露出を特徴とするビスホスホネート関連顎骨壊死(BRONJ:bisphosphonate-related osteonecrosis of the jaw)が問題視されている.当初,BRONJは,がんの骨転移や多発性骨髄腫などに対して使用されるBP注射薬の「高用量」投与によって生じると考えられたが,骨粗鬆症に対するBPの「低用量」投与でも無視できない頻度で発症することが明らかとなってきた.また,BPとは異なる機序で同じ骨吸収抑制作用を示す抗RANKL抗体製剤デノスマブもまた顎骨壊死を発症する可能性があり,BRONJと合わせてantiresorptive agent-related osteonecrosis of the jaw(ARONJ)と呼称されている.BRONJの発生メカニズムは未だ不明な点が多く,わが国ではBRONJの患者数は増加傾向にあるが,一方で発症リスクの軽減や治療法の戦略は整いつつある.2010年にわが国における最初のBRONJのポジションペーパーが発表されたにもかかわらず,患者が増加した要因として,BPを長期投与している患者の増加が最も強い影響を及ぼしていると推察するが,抜歯の制限を含むわが国におけるこれまでの予防的対応に何らかの問題があった可能性も否定できない.

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