日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(8) 創薬研究の新潮流(32)
新規3Dバイオプリントヒト肝組織モデルの創薬基盤研究の最先端
大渕 雅人
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2019 年 153 巻 6 号 p. 284-288

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抄録

ヒト初代培養肝細胞はヒトにおける薬物代謝や代謝酵素に対する薬物の誘導能の評価に広く用いられている.しかしながら,既存の培養系は培養開始後に速やかに代謝機能が低下したり,長期の培養ができないといった欠点があった.近年,よりヒトの生体を模倣した培養系,すなわち生体模倣システム(microphysiological system:MPS)の開発および創薬研究への活用が精力的に進められている.このような新規の培養系は,低クリアランス化合物の薬物動態予測や遅延型の薬剤性肝障害評価,肝線維症のように病態発症に長い過程を要する疾患研究などへの活用が期待されている.本稿では,特に3Dバイオプリンターで構築したヒト肝組織モデルについて,その特徴や研究事例も交えながら解説する.

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© 2019 公益社団法人 日本薬理学会
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