日本薬理学雑誌
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新薬紹介総説
新規カルシウム受容体作動薬エボカルセト(オルケディア®錠)の薬理特性及び臨床試験成績
德永 紳遠藤 祐一川田 剛央
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2019 年 154 巻 1 号 p. 35-43

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抄録

細胞外カルシウム(Ca)濃度の感知機構であるCa受容体(CaR)にアロステリックに作用し,Ca濃度が上昇した場合と同様に副甲状腺ホルモン(PTH)の分泌を抑制する物質をcalcimimeticsと称する.維持透析下の二次性副甲状腺機能亢進症(SHPT)患者を対象に,本邦で最初に治療薬として開発され臨床適用されたcalcimimeticsであるシナカルセト塩酸塩(以下,シナカルセト)は,血清PTH及びCa濃度を適正にコントロールすることで,副甲状腺摘出術の施術数を激減させた.一方,シナカルセトには悪心・嘔吐等の上部消化管障害を惹起する副作用があり,薬剤の増量が困難となる場合や服薬コンプライアンスの低下が問題である.種々の検討により,シナカルセトは上部消化管に直接作用して上部消化管障害を惹起することが明らかとなり,シナカルセトの問題点を改善し,広く安全なSHPT治療を目指して開発されたのがエボカルセトである.エボカルセトは,シナカルセトと同様に,CaRに対してアロステリックモジュレーターとして作用する.一方,その代謝経路はシナカルセトと異なり,チトクロームP450での代謝を受けにくいため,高い生物学的利用率(バイオアベイラビリティ)を獲得した.そのため,シナカルセトに比べて少ない服薬量でも十分な薬効を発揮する.そして服薬量が減じられた結果,エボカルセトは上部消化管に対する作用がシナカルセトに比べて少ないことが,種々のin vivo評価系を用いた検討において明らかとなった.臨床試験においても,シナカルセトを対照とした二重盲検比較試験で上部消化管障害が少ないことが確認され,今後,実臨床においてもその真価が発揮されることが期待される.

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