2017 年 45 巻 3 号 p. 149-159
生体内の恒常性維持には細胞内のタンパク質量の適切な制御が必須である。ユビキチン-プロテアソーム系によるユビキチン化タンパク質の標的特異的な分解機構は,主要な機構の一つである。一方で,プロテアソーム機能の異常亢進はがん細胞の増殖や生存と密接に関連するため,その制御機構の解明はプロテアソーム阻害剤を用いたがん治療の基盤として重要である。そこで我々は,プロテアソーム制御因子UBE3C,およびUBE3Cと相同性の高いUBE3Bに着目した。両因子はプロテアソーム制御による細胞増殖への関与が予測されるが,その全貌は不明であった。本研究によりUBE3Bが細胞増殖に必須であることが示唆された。UBE3Bの細胞内機能はこれまで未知であったが,UBE3Bによるプロテアソーム構成因子との共局在やユビキチンの異常蓄積・凝集の抑制が示され,UBE3Bによる適切なプロテアソーム制御が細胞増殖に関与することが示唆された。また,UEB3BとUBE3Cは共局在しており,UBE3Bの発現低下による増殖低下がUBE3Cの発現低下によりわずかに改善されることが示された。以上から,UBE3Bの細胞増殖能がUBE3Cによる制御を受ける可能性が示唆された。
今後,両因子群の発現パターンとプロテアソーム機能との関連を明確にすることで,プロテアソーム阻害剤感受性における両因子群のバイオマーカーとしての役割が期待される。