日本薬理学雑誌
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創薬シリーズ(8)創薬研究の新潮流(43)
ゼブラフィッシュを用いた安全性評価の現状
宮脇 出
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2021 年 156 巻 1 号 p. 31-36

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抄録

近年,医薬品開発の成功確度の低下とともに,研究開発費の高騰が止まらない.また,安全性を理由とした開発中止の割合は20年前から変わらず依然として高く,創薬早期での安全性の見極めが創薬の効率化向上に重要となってきている.このような現状を受けて,低コスト・高精度・高スループットの安全性スクリーニング系の確立に各社が注力している.脊椎動物であるゼブラフィッシュはin vitroとin vivoの架け橋となる新たな実験動物として期待され,ここ15年での研究の進捗はめざましい.現在では本邦においても実験動物としてメジャーな存在になりつつある一方で,当初の期待(理想)と実際のギャップも見え始め,今一度ゼブラフィッシュの特性を理解し,その利用法について考える段階に移ったと言える.本稿ではゼブラフィッシュを用いたスクリーニングにおける留意点を纏めるとともに,実際の安全性評価への利用について紹介する.

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