日本薬理学雑誌
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特集:ユビキチンプロテアソーム創薬の新展開
ユビキチン修飾系による一次線毛動態制御と疾患治療
西村 有平稲垣 昌樹
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2021 年 156 巻 1 号 p. 4-8

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抄録

ユビキチン修飾系は様々な細胞機能の制御に重要な役割を果たしている.多様な疾患がユビキチン修飾系の異常と関連しており,ユビキチン修飾系の機能を調節する薬物は,これらの疾患に対する新たな治療薬として期待されている.また,ユビキチンプロテアソーム系によるタンパク質分解機構を利用して,疾患の原因となる任意のタンパク質を選択的に分解する治療薬の開発も進められている.一方,ユビキチン修飾系は,細胞のアンテナ状構造物である一次線毛を構成するタンパク質のユビキチン化と脱ユビキチン化を介して,一次線毛の動態を制御している.一次線毛は細胞外のシグナルを感知し,細胞内にシグナルを伝達するハブとして機能しており,その動態により細胞の増殖や分化が制御されている.本稿では,ユビキチン修飾系の一次線毛動態制御における役割と,この制御異常と関連するがんや線毛病について概説し,ユビキチン修飾系による一次線毛動態制御を介した疾患治療の可能性について考察する.

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