日本薬理学雑誌
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特集:ユビキチンプロテアソーム創薬の新展開
分子間相互作用を基盤とするユビキチン・プロテアソーム創薬
内藤 幹彦小松 弘嗣
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2021 年 156 巻 1 号 p. 9-12

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抄録

低分子化合物の創薬標的として注目度が高まっているubiquitin-proteasome system(UPS)の最近の研究開発動向等について概説すると共に,特定の創薬標的タンパク質の分解を選択的に誘導するキメラ型化合物(SNIPER/PROTAC)の応用例等を紹介する.UPSは基質となるタンパク質に目印(ポリユビキチン鎖)をつけ,プロテアソームで分解するという特性を有しており,プロテインノックダウン技術は細胞が持っているこの分解機構を利用している.現行の技術は化合物を介して人為的に標的タンパク質にポリユビキチン鎖を付加し分解を誘導するアプローチである.そのアプローチは化合物のタイプによって大きく2つに分類され,一つはサリドマイドに代表されるE3モジュレーター,もう一つはPROTAC/SNIPERに代表されるキメラ型化合物である.また,E3及びE3結合タンパク質に結合する低分子化合物の同定を目的とした新たな技術も実用化されている.これらの種々のアプローチにより,効率的にユビキチン・プロテアソーム創薬が進められることが期待されている.

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