開発候補品の臨床における中枢神経系の副作用予測のために,非臨床試験で用いられるIrwinの変法や機能観察総合評価法(FOB)は,肉眼的観察が中心で,観察者の観察能力に大きく依存する.そのため,観察者の適切な訓練や所見の目合わせが非常に重要であり,方法や判断基準についても統一的な見解を共有する必要がある.また,動物福祉への配慮やバイオ医薬品および抗がん薬の開発の増加などから安全性薬理評価を一般毒性試験に組み入れる機会が多くなっている.特に中枢神経系の評価は,比較的容易に,経時的に一般毒性試験に組み込むことが可能である.しかし,検出力を減じず,信頼性のあるデータが取得できるように試験をデザインする必要がある.このように医薬品開発において,信頼性の高い中枢神経系への影響を検出するためには,中枢神経系評価の技術レベルの向上および技術の継承が大切である.