日本薬理学雑誌
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特集:ヒトiPS細胞技術を活用した創薬研究の新たな展開
New approach methodologiesの活用による新たな薬理評価法の開発
辻 嘉代子佐塚 文乃諫田 泰成
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2021 年 156 巻 4 号 p. 208-213

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抄録

レギュラトリーサイエンスのミッションは,より安全でより有効な医薬品を提供し,健康長寿社会の形成に貢献することであり,この使命の達成には今まで以上にヒトにおける予測性の高い方法が必要である.現在,医薬品に関する試験は,主に,in vitroおよびin vivoの評価法が運用されており大きな問題は認められていないが,ヒトにおけるリスク予測の観点から改善の余地があると考えられる.そこで,最近,新しいアプローチや方法論(new approach methodologies:NAM)を活用してヒトの有害事象をより正確に予測できるモデルの開発が進んでいる.動物実験代替法の観点も踏まえてヒトiPS細胞などを用いたin vitro評価法の開発が進み,またCOVID-19のパンデミックを機に計算化学の研究がさらに加速しており,今後,新たな薬理評価法により医薬品の開発効率の向上や被験者の安全性確保,審査の迅速化などが期待されている.そこで,本総説では,ヒトiPS細胞を活用した薬理評価の現状と今後の展望を概説したい.

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