日本薬理学雑誌
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特集:情動調節を担う脳内神経伝達機構の新展開
縫線核領域ドパミントランスポーター(DAT)陽性ニューロン―拡張扁桃体投射系の特徴解析
山本 亮古山 貴文趙 駸益岡 尚由堀 佳江伊藤 哲史小野 宗範加藤 伸郎
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2022 年 157 巻 6 号 p. 443-447

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抄録

背側縫線核(DR)には,ドパミン(DA)ニューロンとみなされるtyrosine hydroxylase(TH)陽性ニューロンが多く存在する.このDRと中脳水道周囲灰白質(PAG)領域のDAニューロン(DADR-PAGニューロン)は,多様な神経集団からなるA10クラスターのサブグループであるとされている.このDAニューロンは扁桃体中心核(CeA)や分界条床核(BNST)へ投射を持ち,様々な情動行動を調節することが報告されている.DAニューロンの多くはDA transporter(DAT)陽性であり,DATDR-PAGニューロンの多様性 も想定される.しかし,これらの多様性が示唆されるDA/DATDR-PAGニューロンのそれぞれのニューロンサブグループの特徴はそれほど詳細に調べられていない.本稿では,縫線核領域におけるDA/DATDR-PAGニューロンの多様性とその様々な情動行動調節に関するこれまでの知見を総括し,新たに我々が明らかにした,DATDR-PAGニューロンを構成する2群のニューロン集団(TH陽性のDAニューロン群とvasoactive intestinal peptide(VIP)陽性のnon-DAニューロン群)について紹介する.

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© 2022 公益社団法人 日本薬理学会
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