日本薬理学雑誌
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特集 免疫応答の制御におけるマスト細胞,好塩基球の新たな役割
好塩基球分化とその機能に関する新知見
三宅 健介伊藤 潤哉烏山 一
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2024 年 159 巻 1 号 p. 32-38

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抄録

好塩基球は顆粒球の一種で,末梢血白血球中に1%ほどしか存在しない希少な血球細胞である.好塩基球の存在は,ドイツの病理学者Paul Ehrlichによって140年以上前から発見されていたものの,好塩基球が希少細胞であることや組織常在型のマスト細胞と多数の共通点をもつこともあって,その生体内での役割については長い間謎のままであった.しかしここ10年ほどで好塩基球除去抗体や好塩基球関連の遺伝子改変マウスなどの好塩基球に関する研究ツールが次々に開発され,生体内にごく少数しか存在しない好塩基球が多様な免疫反応において重要な役割を担っていることが明らかになってきた.特に,好塩基球は慢性アレルギー炎症の誘導や寄生虫感染に対する再感染防御などの2型免疫応答に重要であることが明らかになっている.本稿ではまず,好塩基球のアレルギー炎症における役割について,特に皮膚アレルギーに焦点をあてて概説したのちに,好塩基球の分化機構について筆者たちによる最新の解析結果も交えながら解説する.

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