日本薬理学雑誌
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特集 薬理学-免疫学-構造生物化学から視る新たながん治療戦略
グリオーマにおけるケモカインおよびその受容体の役割~免疫療法の開発に向けて~
原 雄大, 松尾 一彦, 中山 隆志
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2025 年 160 巻 3 号 p. 172-176

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抄録

ケモカインは,細胞遊走制御を担うサイトカインの一群である.健常人においては,免疫細胞の遊走を介して,生体の恒常性の維持や免疫応答の誘導に寄与する.また,免疫・アレルギー疾患を始めとして,がんや神経変性疾患等の種々の疾患においては,病変部位や所属リンパ節でのケモカインの異所性発現がみられ,免疫細胞の遊走を介してこれら疾患の病態制御にも密接に関わっている.グリオーマは,極めて悪性の原発性脳腫瘍の一種である.末梢組織に発生したがんと同様に,腫瘍組織には様々な免疫細胞の浸潤が確認されているが,他のがんと比較し,それら浸潤細胞の遊走制御機序には不明な点が多い.また,現在,免疫療法はがん治療の大きな柱の1つとして精力的に研究・開発が進められており,複数種のがんにおいて有効性が示されている.しかしながら,グリオーマにおいては,がん免疫療法の有効性が見出されていない.一方,ケモカインはグリオーマに対する腫瘍免疫応答に寄与することが示されており,グリオーマに対するがん免疫療法の有望な治療標的分子となると期待される.したがって,ケモカインおよびケモカイン受容体のグリオーマ病態制御における役割を解明することは,新たながん免疫療法の開発に繋がる可能性がある.本総説では,ケモカインおよびケモカイン受容体のグリオーマでの役割について最新の知見も交えて概説する.

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