新規1,4-dillydropyridine(DHP)系カルシウムチャネルブロッカー(Ca2+-ブロッカー),NZ-105,((±)-2-[benzyl(phenyl)amino]ethyl 1,4-dihydro-2,6-dimethyl-5-(5,5-dimethyl-2-oxo-1,3,2-dioxaphosphorinan-2-yl)-4-(3-nitrophenyl)-3-pyridinecarboxylate hydrochloride ethanol)の作用特異性を検討する目的で,NZ-105の中枢性のCa2+チャネルDHP結合部位への親和性を検討すると同時に,その他の主に中枢性の各種受容体(α1,α2,β-アドレナリン受容体,ドパミンD1,D2受容体,ムスカリン性アセチルコリン受容体,μ,δ,κ-オピオイド受容体,NMDAタイプ,キスカル酸タイプならびにカイニン酸タイプグルタミン酸受容体)結合に及ぼす影響を同じDHP系Ca2+ブロッカーのニカルジピンおよびベンゾチアゼピン系Ca2+-ブロッカーのジルチアゼムと比較検討した.NZ-105は中枢性DHP結合部位に対してニカルジピンと同レベルの親和性を示したが,他の受容体に対しては有意な親和性を示さなかった.一方,ニカルジピンおよびジルチアゼムは高濃度ではあるが各種受容体に対する抑制作用が認められた.以上の結果より,NZ-105は従来のCa2+-ブロッカーに比べ他の受容体結合に対する影響は弱く,より選択的にDHP-結合部位に作用するという特徴を有することが示された.