日本薬理学雑誌
Online ISSN : 1347-8397
Print ISSN : 0015-5691
ISSN-L : 0015-5691
NZ-105の各種受容体への親和性に関する検討
丹羽 雅之野崎 正勝小林 雅司鶴見 介登
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 100 巻 1 号 p. 59-66

詳細
抄録

新規1,4-dillydropyridine(DHP)系カルシウムチャネルブロッカー(Ca2+-ブロッカー),NZ-105,((±)-2-[benzyl(phenyl)amino]ethyl 1,4-dihydro-2,6-dimethyl-5-(5,5-dimethyl-2-oxo-1,3,2-dioxaphosphorinan-2-yl)-4-(3-nitrophenyl)-3-pyridinecarboxylate hydrochloride ethanol)の作用特異性を検討する目的で,NZ-105の中枢性のCa2+チャネルDHP結合部位への親和性を検討すると同時に,その他の主に中枢性の各種受容体(α1,α2,β-アドレナリン受容体,ドパミンD1,D2受容体,ムスカリン性アセチルコリン受容体,μ,δ,κ-オピオイド受容体,NMDAタイプ,キスカル酸タイプならびにカイニン酸タイプグルタミン酸受容体)結合に及ぼす影響を同じDHP系Ca2+ブロッカーのニカルジピンおよびベンゾチアゼピン系Ca2+-ブロッカーのジルチアゼムと比較検討した.NZ-105は中枢性DHP結合部位に対してニカルジピンと同レベルの親和性を示したが,他の受容体に対しては有意な親和性を示さなかった.一方,ニカルジピンおよびジルチアゼムは高濃度ではあるが各種受容体に対する抑制作用が認められた.以上の結果より,NZ-105は従来のCa2+-ブロッカーに比べ他の受容体結合に対する影響は弱く,より選択的にDHP-結合部位に作用するという特徴を有することが示された.

著者関連情報
© 社団法人 日本薬理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top