日本薬理学雑誌
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KW-3635のフロセミド利尿に対する作用
川影 美千代石原 直美唐沢 啓加瀬 広
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1993 年 101 巻 1 号 p. 33-38

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抄録

KW-3635のフロセミドの利尿作用に対する影響をラットを用いて検討した.一晩絶食したラットに生理食塩水(2.5ml/100g)を負荷して,6時間尿を採取し,尿量,Na+,K+およびトロンボキサンB2(TxB2)排泄量を測定した.フロセミド(10mg/kg,p.o.),KW-3635(3,10,30mg/kg,p.o.)またはBM-13505(3,10,30mg/kg,p.o.)の単独投与では,尿量,Na+,K+排泄量には変化が認められなかった.フロセミドとKW-3635(10,30mg/kg)またはBM-13505(10,30mg/kg)の併用投与群で,薬物未処置群および単独投与群より,有意な尿量の増加を認めた.尿中TxB2排泄量は各群間に有意差は認められなかった.以上の結果から,トロンボキサンA2(TxA2)受容体拮抗薬であるKW-3635またはBM-13505はフロセミドの利尿作用を増強させることが明らかになった.フロセミドの利尿作用発現に際して,腎でのTxA2産生がその利尿作用に影響している可能性が示唆される.

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