日本薬理学雑誌
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新規ジヒドロピリジン誘導体F-0401の薬理作用
(2) イヌ摘出血管に対する作用
加瀬 則子山浦 哲明大西 治夫
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1993 年 102 巻 2 号 p. 131-139

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抄録
新規合成ジヒドロピリジン誘導体F-0401 ((±) - (E) -3- [4- (1-imidazolyl) methylphenyl] -2-propen-1-ylmethyl 1, 4-dihydr0-2, 6-dimethyl-4- (3-nitrophenyD-3, 5-pyridinediearboxylate) の血管拡張作用をイヌ摘出脳血管および末梢血管標本を用い比較検討した.F-0401は, いずれの血管においても濃度依存的にKCI収縮を抑制し, その作用強度 (pD'2値) は中大脳 (8.3), 脳底 (8.1) >冠 (6.9) >大腿, 腎, 内頸, 椎骨, 上腸間膜動脈 (6.0~5.5) の順で, 末梢血管あるいは頭蓋外血管に比し, 特に頭蓋内血管に高い選択性を示した.F-0401の脳血管選択性 (脳底動脈pD'2/大腿動脈pD'2) はフルナリジンの4倍, ニカルジピンの25倍, ニモジピンの40倍強いものであった.また, F-0401はイヌ脳底動脈におけるCaCl2収縮反応曲線を右に平行移動させた (pA2値 : 8.9) が, 5-HT (pD'2値15.9) およびPGF (pD'2値 : <4.5) の収縮に対する作用は軽微であった.以上のことから, F-0401は頭蓋内血管に対し著しく高い選択性を有する血管拡張薬であり, その作用は主に電位依存性Ca2+チャネル阻害作用に基づくものであることが示唆された.
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