日本薬理学雑誌
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102 巻, 2 号
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  • 佐田 英明, 伴 隆志, 蛯名 良雄
    1993 年 102 巻 2 号 p. 59-68
    発行日: 1993/08/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    The sodium channel plays essential roles in the initiation and propagation of action potentials (APs) in excitable tissues including the heart, nerves, and muscles. Na channels in these tissues undergo so-called activation and then inactivation upon step-depolarizations of the cell membrane. Hodgkin and Huxley, early in the 1950s, proposed a mathematical model to describe such events, which was based on voltage-clamp (V-C) data on axonal membranes. However, for the next 30 years or so since the pioneering work of the above workers, electrophysiological studies of the Na channel kinetics in the heart had relied exclusively on AP data (Vmax) as an indirect measure of the Na current instead of V-C data due to difficulty in determing V-C from the complex geometry of cardiac tissues. However, recent development of an isolation procedure for preparing single heart cells and the use of single patch-pipettes for high resolution V-C experiments on these cells have made direct recording of Na channel currents also possible in the heart. Voltage-clamp studies carried out for the last decade have provided several lines of evidence supporting the view that the Na channel properties in the heart of any animal species are somehow more complex than in the axonal membrane and hence showing that Hodgkin-Huxley model can not be directly applied to describe the Na channel behavior in the former type of tissues. Here, we review recent results from V-C studies on Na channel properties with special reference to the macroscopic Na current in cardiac tissues.
  • 田中 正敏
    1993 年 102 巻 2 号 p. 69-76
    発行日: 1993/08/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
  • In vitroにおける粘液分泌の新しい評価法
    礒浜 洋一郎, 宮田 健
    1993 年 102 巻 2 号 p. 77-83
    発行日: 1993/08/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
  • 岸本 直, 岡宮 芳明, 青木 久美子, 太田 幹雄, 保科 憲二, 竹下 徹
    1993 年 102 巻 2 号 p. 85-100
    発行日: 1993/08/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    新規ジヒドロピリジン誘導体, 塩酸palonidipine (以下palonidipineと略記) の抗狭心症作用について各種病態モデル系を用い, ニフェジピンと比較検討した. (1) バゾプレシンで惹起されるラット心電図ST下降に対し, palonidipineは0.5mg/kg, P.O.で有意な抑制作用を示した.この抑制作用は, ニフェジピンに比し約5倍高活性であり, 持続的であった. (2) イソプロテレノールで惹起されるラット心電図ST下降に対し, palonidipineは1mg/kg, i.d.で有意に抑制作用を示した.この抑制作用はニフエジピンよりも高活性であった. (3) palonidipineの3μg/kg, i. v.は慢性冠動脈狭窄犬の心筋虚血領域における組織血流量を増加させた. (4) 摘出イヌ冠状動脈における3, 4-DAP誘発周期性収縮に対し, palonidipineは10-10Mより濃度依存的な抑制作用を示した.この作用はニフェジピンに比し, 10~30倍高活性であった. (5) 麻酔開胸犬におけるエンドセリンの冠動脈内注入により, 冠動脈血流量及び心筋組織血流量の急速な減少ならびに心筋pHの緩徐な下降が認められた.この時, 心電図STが0.1mV以上に上昇したものは8/10例で, また全例に期外収縮の発生が認められ, 9/10例が死亡した.このようなエンドセリンによる心筋の虚血性変化に対して, palonidipine (3μg/kg, i.v.) の前投与は抑制を示し, その効果はニフェジピンよりも強かった.以上より, palonidipineが狭心症の治療に有用な薬剤となり得る
  • 高瀬 英樹, 山本 和典, 伊藤 敬三, 弓岡 栄三郎
    1993 年 102 巻 2 号 p. 101-112
    発行日: 1993/08/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    ベルベリンおよびゲンノショウコエキス (Geranii Herba : GH) の各種下痢モデル, 摘出腸管平滑筋収縮ならびに生体位腸管蠕動運動に対する作用を, アトロピンおよびパパベリンの作用と比較検討した.1) ベルベリンは7.5mg/kg, p.o.以上でヒマシ油および塩化バリウム誘発下痢を有意に抑制したが, ピロカルピンおよびセロトニン誘発下痢に対しては250mg/kg, p.o.でも有意な抑制を示さなかった.GHは667mg/kg, p.o.で塩化バリウム誘発下痢を有意に抑制し, 他の3つの下痢モデルに対しては抑制傾向を示した.アトロピンはピロカルピン誘発下痢を最も強く抑制した.パパベリンは, セロトニン誘発下痢以外をいずれも有意に抑制した.2) ベルベリンはパパベリンと同様に, アセチルコリンおよび塩化バリウムによる回腸ならびに結腸の収縮を, 非特異的に抑制した.GHは10-3g/mlの濃度においても各種収縮反応を抑制しなかった。アトロピンのアセチルコリン収縮に対する抑制作用は, 塩化バリウムに対する抑制作用よりも約1000倍以上強かった.また, アトロピンはアセチルコリンの用量反応曲線に対して競合的拮抗作用を示したが, ベルベリンはパパベリンと同様に非競合的拮抗作用を示した.3) ベルベリン (3mg/kg, i.v.) およびGH (50mg/kg, i.v.) は, アトロピンおよびパパベリンと同様に, 腸管蠕動運動を有意に抑制した.以上のことから, ベルベリンおよびGHはともに止瀉作用を有しており, ベルベリンの止瀉作用は非特異的な腸管平滑筋収縮の抑制を介しているが, 一方, GHの止瀉作用は前者と若干異なる機序によることが推察された.
  • 生駒 幸弘, 赤井 哲夫, 仲田 行恵, 原 公生, Helmut WACHTEL, 山口 基徳
    1993 年 102 巻 2 号 p. 113-129
    発行日: 1993/08/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    麦角アルカロイド誘導体テルグリド (terguride) の中枢神経系への影響を, マウス, ラット, モルモットを用いて生化学的及び行動薬理学的に構造類似薬リスリド (lisuride) と比較検討した.テルグリドはリスリドと同様, ラット脳細胞膜分画のドパミンD2受容体 (Ki=3.5nM), セロトニン5-HT1A (Ki=1.8nM) 及び5-HT2受容体 (Ki=5.5nM), アドレナリンα1 (Ki=11nM) 及びα2受容体 (Ki=0.4nM) に高い親和性で結合した.中枢ドパミン神経系シナプス前D2受容体に対し, テルグリドはリスリド同様に作動薬として働き, 低用量からラットに自発運動の軽度抑制やあくび行動を引き起こした.シナプス後D2受容体に対しては, テルグリドは作動薬リスリドと異なり部分作動薬として働くため, 単独作用は弱く, ラット及びモルモットに自発運動充進や常同行動を誘発しなかった.逆に作動薬アポモルフィン誘発自発運動充進及び常同行動, 遮断薬ハロペリドール誘発力タレプシーを抑制した.一側黒質破壊により線条体ドパミン神経系が超過敏化したラットでは, テルグリドはリスリドと同様に破壊側への旋回行動を引き起こした.テルグリドはリスリドと異なりラットにセロトニン症候を誘発せず, 5-HT, A作動薬8-OH-DPATで弁別訓練したラットで般化作用を示さなかった.また, 5-HT2作動薬で誘発されるマウスの首振り運動を誘発しなかった.テルグリドは高用量で, マウスのノルアドレナリン致死やクロニジン誘発体温下降に拮抗した.ラットにテルグリド (1mg/kg) を4週間反復皮下投与しても, その自発運動量抑制及びあくび行動誘発作用に変化が見られなかった.以上の成績より, テルグリドは主として中枢ドパミン神経系に作用し, シナプス前D2受容体に対してはリスリド同様に作動薬として, シナプス後D2受容体に対しては作動薬リスリドとは異なり部分作動薬として働き, 種々の薬理作用を発揮するものと推察された.
  • (2) イヌ摘出血管に対する作用
    加瀬 則子, 山浦 哲明, 大西 治夫
    1993 年 102 巻 2 号 p. 131-139
    発行日: 1993/08/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    新規合成ジヒドロピリジン誘導体F-0401 ((±) - (E) -3- [4- (1-imidazolyl) methylphenyl] -2-propen-1-ylmethyl 1, 4-dihydr0-2, 6-dimethyl-4- (3-nitrophenyD-3, 5-pyridinediearboxylate) の血管拡張作用をイヌ摘出脳血管および末梢血管標本を用い比較検討した.F-0401は, いずれの血管においても濃度依存的にKCI収縮を抑制し, その作用強度 (pD'2値) は中大脳 (8.3), 脳底 (8.1) >冠 (6.9) >大腿, 腎, 内頸, 椎骨, 上腸間膜動脈 (6.0~5.5) の順で, 末梢血管あるいは頭蓋外血管に比し, 特に頭蓋内血管に高い選択性を示した.F-0401の脳血管選択性 (脳底動脈pD'2/大腿動脈pD'2) はフルナリジンの4倍, ニカルジピンの25倍, ニモジピンの40倍強いものであった.また, F-0401はイヌ脳底動脈におけるCaCl2収縮反応曲線を右に平行移動させた (pA2値 : 8.9) が, 5-HT (pD'2値15.9) およびPGF (pD'2値 : <4.5) の収縮に対する作用は軽微であった.以上のことから, F-0401は頭蓋内血管に対し著しく高い選択性を有する血管拡張薬であり, その作用は主に電位依存性Ca2+チャネル阻害作用に基づくものであることが示唆された.
  • 抗振戦作用との関連
    原 洋一, 杉本 真一, 小野 秀樹
    1993 年 102 巻 2 号 p. 141-151
    発行日: 1993/08/01
    公開日: 2011/09/07
    ジャーナル フリー
    アロチノロールの抗振戦作用の機序を推定する自的で, 麻酔ネコのヒラメ筋における不完全強縮に対する作用を検討した.ヒラメ筋では, イソプロテレノールあるいはエピネフリンは不完全強縮の抑制や収縮の融合の低下を示すが, この作用に対して, アロチノロールは1μg/kgの静脈内投与では影響を与えなかった.3μg/kg以上の投与量では明らかな減弱作用を示し, 30μg/kgではほとんど完全に拮抗した.また, プロプラノロールは10μg/kgの用量では影響を与えなかったが, 30μg/kgの用量から減弱させ, 100μg/kgではほとんど完全に拮抗した.ピンドロールは1μg/kgの用量では影響を与えず, 3μg/kgから減弱作用を示したが, 30μg/kgでも完全には拮抗しなかった.一方, アテノロールは300μg/kgまでの用量でまったく影響を与えなかった.α遮断薬のプラゾシンは0.1~10μg/kgで, フェントラミンは10および30μg/kgで影響を与えなかった.以上の結果から, ヒラメ筋におけるイソプロテレノールおよびエピネフリンで抑制された不完全強縮に対するアロチノロールの拮抗作用はβ2遮断作用によることが示唆された.アロチノロールは骨格筋 (遅筋) にあるβ2受容体を遮断し, 遅筋の不完全強縮を完全強縮にすることによって振戦の振幅を減少するのではないかと考えられる.
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