日本薬理学雑誌
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修治ブシのアルカロイド成分ベンゾイルメサコニンの鎮痛作用について
鈴木 康之早川 由紀尾山 力磯野 智子大宮 雄司池田 孔己浅見 明俊野口 将道
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1993 年 102 巻 6 号 p. 399-404

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抄録

ツムラ修治附子末(TJ-3021)は,附子を一定条件で減毒加工(修治)した医療用医薬品であり,種々の疾患による痛みに対して鎮痛のために用いられている.附子および修治附子末の鎮痛活性成分のひとつとみられているメサコニチンは,修治によりその殆どが加水分解を受けベンゾイルメサコニン(BM)に変化する.筆者らは修治ブシ末中にメサコニチンに比べ非常に多く含まれるBMに注目し,BMの鎮痛作用について,TJ-3021およびモルヒネとの比較をマウスおよびラットを用いて行った.試験法として,Hikinoらによりその鎮痛効力を報告されている酢酸ライシング法の他,反復低温ストレス(repeated cold stress:RCS)による痛覚過敏モデルを用いての鎮痛作用に関する結果を得たので報告する.これらの鎮痛試験においてBMは,酢酸ライシング法では,10mg/kgの経口投与で有意な鎮痛作用を示し,Hikinoらの報告とほぼ合致するものであり,その鎮痛活性はTJ-3021の300mg/kg経口投与と同程度であった.RCS法ではBMの30mg/kg経口投与で有意な鎮痛作用を示し,その鎮痛活性はTJ-3021の1000mg/kg経口投与と同程度であった.これらの結果よりRCSによる痛覚過敏に対するTJ-3021の鎮痛作用にBMの作用が一部寄与していると推察された.

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