1994 年 103 巻 5 号 p. 211-217
新規Ca拮抗薬AE0047の脳内アセチルコリン(ACh),モノアミンおよび代謝産物,神経活性アミノ酸含量に及ぼす影響について検討した.AE0047(100mg/kg)の投与により,大脳皮質内ACh含量の上昇が認められた.脳内ノルエピネフリン(NE)含量は,AE0047(10mg/kg)の投与により線条体で有意な低下を示し,脳内ドパミン(DA)含量はAE0047(100mg/kg)の投与により線条体で有意な上昇を示した.さらに,大脳皮質内セロトニン(5-HT)含量は,AE0047(100mg/kg)投与により有意な上昇を,またその代謝産物である5-ヒドロキシインドール酢酸(5-HIAA)含量も,大脳皮質においてAE0047(10,30,100mg/kg)投与により有意な上昇を示した.5-HT合成の律速酵素であるトリプトファンヒドロキシラーゼ活性は,AE0047(100mg/kg)の投与により脳内のいずれの部位においても変化しなかったが,大脳皮質切片への[14C]5-HT取り込み能は,AE0047のin vitro添加により有意な上昇を示した.一方,大脳皮質内タウリン含量は,AE0047(30,100mg/kg)の投与により減少を示した.以上の結果より,AE0047は,大脳皮質内5-HT作動性神経系に対して,5-HT取り込み能の増加を伴う代謝回転の促進作用を有する薬物である可能性が考えられる.