日本薬理学雑誌
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新規経口抗アレルギー薬quinotolast(FK021)の気道クリアランス系に対する作用
今井 巧甲斐 広文礒濱 洋一郎高濱 和夫宮田 健広井 純下村 恭一向坂 正信
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1994 年 104 巻 4 号 p. 347-355

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抄録

新規経口抗アレルギー薬であるquinotolast(FK021)[sodium 5-(4-oxo-1-phenoxy-4H-quinolizine-3-carboxamido)tetrazolate monohydrate]の気道クリアランス系に対する作用を検討した. ウサギの正常気道液分泌に対してFK021の1,10mg/kg, p.o. は影響を及ぼさなかった.トラニラストの100mg/kg, p.o. は気道液量に対して軽度の抑制作用を示した. ラット肺胞II型上皮細胞からの肺表面活性物質の分泌に対してFK021(10-10~10-5g/ml)およびトラニラスト(10-6,10-4g/ml)は何ら影響を与えなかった. ウズラの気管粘液繊毛輸送速度に対しては,FK021の10mg/kg, p.o. の投与用量で亢進作用が認められた. トラニラストの100,320mg/kg, p.o. は著明な影響を与えなかった. モルモットのクエン酸誘発咳嗽反応に対して,FK021は10mg/kg, p.o. で正常動物に惹起させた咳嗽を,更に32mg/kg, p.o. で気管支炎病態動物に惹起させた咳嗽を抑制した. トラニラストは320mg/kg, p.o. の投与用量で正常動物に惹起させた咳嗽を抑制したが,気管支炎病態動物に惹起させた咳嗽に対しては何ら作用を示さなかった. 本研究の結果より,FK021は気道クリアランス系に対して,好ましい作用を示すと考えられる.

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