日本薬理学雑誌
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各種高血圧動物におけるCa2+拮抗薬AE0047の降圧作用について
木戸 秀明西川 昌邦林 一孝久保 佳史大滝 裕藤野 善之江木 康陽戎 一井上 理山永 克己内田 武中村 憲史
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1997 年 109 巻 6 号 p. 279-289

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抄録

新規ジヒドロピリジン系Ca2+拮抗薬AEOO47を高血圧自然発症ラット(SHR/crj),1腎性高血圧ラット(RHR),DOCA食塩負荷高血圧ラット(DHR)および2腎性高血圧イヌ(RHD)に単回経ロ投与し,本薬の降圧作用の発現および持続性について検討した.AE0047はSHR/crj(1,3,10mg/kg),RHR(1,3,10mg/kg)およびDHR(0.3,1,3mg/kg)の収縮期血圧(SBP)を用量依存性に降下させた.その作用は緩徐に発現し,SHR/crjおよびRHRでは投与2~4時間後,DHRでは2~7時間後に最大に達し,最高用量ではいずれも30時間以上持続した.SBPを30%降下させるのに必要な投与量(ED30)はSHR/crj,RHRおよび1)HRでそれぞれ2.6,3.4および0.68mg/kgであった.SHR/crjおよびRHRの心拍数(HR)は顕著な血圧降下がみられた時点で一過性に増加したが,いずれも軽度であった.DHRの心拍数は有意な変化を認めなかった.AE0047はRHD(4~32mg/body)においても用量依存性に緩徐な降圧をきたし,投与2~6時間後に最大降圧を示した.また,32mg/bodyでは降圧作用は22時間後まで持続した.一方,ニトレンジピンおよび=カルジピンの降圧作用はAE0047と同等の降圧強度を示す用量において,投与1~2時間後に最大に達し,24時間以内に消失した.さらに,AE0047(10,30,100μg/kg)をSHR/crjに静脈内投与したところ,降圧作用は緩徐に発現し,30μg/kg以上では10ないし30分後に定常状態に達し,その後も持続した.ニトレンジピンおよびニカルジピンによる降圧は静脈内投与後30秒~1分で最大に達し,速やかに消失した.以上の成績より,AE0047はラットおよびイヌを用いた各種高血圧モデルにおいて,ニトレンジピンおよびニカルジピンと異なり緩徐かつ持続的な降圧作用を示すことが明らかとなった.

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