日本薬理学雑誌
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長時間作用型Ca2+拮抗薬AEOO47の反復経口投与による降圧作用ならびに心肥大退縮効果
木戸 秀明西川 昌邦林 一孝久保 佳史戎 一江木 康陽慎山 浩史中村 憲史
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1997 年 109 巻 6 号 p. 291-301

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抄録

長時間作用型新規ジヒドロピリジン系Ca2+拮抗薬AE0047を高血圧自然発症ラット(SHR/crj)および2腎性高血圧イヌ(RHD)に反復経口投与を行い,降圧作用の発現ならびに持続性について検討し,併せて24時間にわたる降圧効果の指標となるtrough/peak(T/P)比を算出した.AEOO47(0.3,1,3mg/kg)をSHR/crjに8週間反復投与したところ,収縮期血圧は用量依存性かつ持効性に降下した.最高用量の3mg/kgでは初回投与より降圧作用は24時間以上持続し,試験期間中を通して降圧作用の減弱はみられなかった.一方,0.3およびlmg/kgでは反復投与による作用の増強が認められた.特に0.3mg/kgでは1日目には全く降圧作用が認められなかったものの,1週間目では血圧は投与後緩徐に降下し,4週間目には降圧効果は24時間持続した.T/P比は0.3および1mg/kgにおいて2週間以降ではいずれも0.5を上回った.心拍数は1日目において,AE0047の1および3mg/kg投与で血圧降下時に増加したものの,経日的にその程度は減弱した.8週間のAEOO47反復投与により,左心室重量は最小用量の0.3mg/kgより有意に減少し,本薬の高血圧性心肥大に対する退縮効果が認められた.AE0047は糖ならびに脂質代謝には影響しなかった.次に,AE0047のカプセル製剤GJ-0956(2,8mg/body)をRHDに2週間反復投与したところ,8mg/bodyにおいて緩徐かつ持続的な血圧降下が認められ,経日的にその作用は増強した.2週間目のT/P比は収縮期血圧で0.52,拡張期血圧で0.67といずれも0.5を上回った.以上のことから,AE0047はラットおよびイヌを用いた高血圧モデルにおいて,1日1回の投与で重篤な副作用を発現することなく緩徐かつ持効性の降圧作用を発揮し,長期投与により効果の増強がみられることが明らかとなった.また,AE0047は降圧用量において高血圧性心肥大を退縮させたことから,心保護作用を併せ持つことが示唆された.

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