日本薬理学雑誌
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プロスタノイド受容体のリガンド結合ドメインの解析
小林 拓也牛首 文隆成宮 周
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1999 年 114 巻 supplement 号 p. 127-129

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抄録

プロスタノイド受容体はロドプシン型受容体ファミリーに属し、プロスタノイド受容体サブファミリーとして共通構造を持っている。この共通構造が、プロスタノイドの基本骨格を認識し、受容体の他の部分が、各プロスタノイドに対する結合特異性を決定すると考えられる。我々は、これまでに異なる2種の受容体を組み合わせたキメラ受容体を作成し、リガンド結合親和性を比較することにより、側鎖構造の識別には、第5~6膜貫通領域が関与しており、五員環構造の識別には、第1細胞外ルーフよりN末端側が関与していることを示唆した。今回、さらに五員環構造識別に関与するアミノ酸を特定することを目的として、マウスPGD2受容体(mDP)とマウスPGI2受容体(mIP)の間で、キメラ受容体およびアミノ酸変異受容体を作成した。これら受容体をCOS細胞に発現させPGD2,PGE1,PGE2,PGF2αおよびIPアゴニストであるiloprostに対する結合性を検討した。その結果、mDPの第2膜貫通領域と第1細胞外ルーフをmIPに置き換えるだけで、mDPの持つPGD2結合の特異性を失い、mIPの持つiloprost結合の特異性を獲得した。従って、第2膜貫通領域と第1細胞外ループが五員環構造識別に関与することが示唆された。現在、アミノ酸変異受容体を作成し、五員環構造識別に関与するアミノ酸の同定を行っている。

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