日本薬理学雑誌
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114 巻 , supplement 号
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  • 成宮 周
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 1-5
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    Rhoは分子量2万の単量体で働くいわゆる低分子量GTP結合蛋白質の一つで、不活性体であるGDP結合型と活性化体であるGTP結合型の間を往復して細胞反応の分子スイッチとして働いている。Rhoの機能はGTP結合型の発現による活性化の表現型とRhoを特異的に不活化するボツリヌスC3酵素が引き起こすRho不活化の表現型を比較することにより解析されてきた。これによりRhoがアクトミオシン系の制御を介して、平滑筋の収縮、細胞の基質への接着と移動、細胞質分裂に関与していることが明らかになった。Rhoの作用はRhoが下流のエフェクター分子に働いて発現されると考えられる。我々は、GTP型Rhoへの選択的結合性に基づいて、これまでに8種類のRhoエフェクター分子を単離している。このうち、Rho結合キナーゼ(ROCK)はミオシンの脱リン酸化酵素の不活化を介してアクトミオシン収縮性の亢進を、mDiaはプロフィリン結合を介してアクチン重合に働くことが明らかになっている。更に平滑筋弛緩薬として開発されてきた化合物Y-27632がROCKの特異的阻害薬であることが明らかになり、これを用いた解析によりRho-ROCK経路が血管平滑筋や気管支平滑筋の病態時の過剰収縮や、がん細胞の転移・浸潤及び細胞の悪性化に働くことが明らかになってきている。
  • 米倉 義晴
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 6-10
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    脳機能を非侵襲的に画像として描出する脳機能イメージングは、ヒト脳における神経活動の空間的分布の計測や、神経伝達に関わる受容体やトランスポータを選択的に画像化する方法として注目されている。脳血流の変化を指標として、ある特定の課題に対して反応する脳内の部位を同定する脳賦活検査は、ダイナミックに変化する脳機能を観測できる計測法であり、特に、認知、学習、言語、記憶など高次脳機能の解明をめざして、さまざまな神経心理学的課題に対する検索が行われている。また、受容体やトランスポータなどの機能を特異的に描出する神経伝達機能イメージングは、脳機能異常を呈する神経疾患の診断や、精神疾患の薬物治療への応用が期待されている。
  • 遠藤 仁, 金井 好克
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 11-16
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    アミノ酸、特に必須アミノ酸は全生物において栄養素として不可欠である。従ってこれらは細胞外から細胞内に取り込まれる必要がある。多くのアミノ酸は水溶性が高いので、脂質二重層膜を通り難く、経細胞膜輸送には特別な輸送膜タンパク質(トランスポーターと呼ばれる)が必要である。他方、アミノ酸はタンパク質の原料であるので、増殖の盛んな細胞程その需要が高まる。演者らはleucineを代表基質とするシステムLアミノ酸トランスポーター分子をコードする遺伝子をグリオーマ細胞よりクローニングし、これをLAT1(L-type amino acid transporter 1)と名付けた。LAT1は各種癌細胞に発現が高く、正常細胞にも骨髄や小腸上皮、脳など、限られた部位にも発現が認められた。さらにLAT1のホモログとして正常細胞に広く分布するLAT2を見出すことができた。LAT1を強く阻害し、LAT2には影響しない化合物が抗悪性腫瘍薬の候補になり得るか否かをLATに対して比較的選択性のある阻害物質(2-aminobicyclo-2(2,2,1)-heptane-2-carboxylic acid)をin vitroとin vivoの系で検索した。その結果、in vitroではヒト悪性腫瘍由来細胞の増殖を強く抑制し、in vivoでは担癌動物の延命効果も認められた。更にLAT1により認識される側鎖に抗腫瘍薬物を結合させて、LAT1発現腫瘍細胞への薬物の送達も可能と考えられる。従ってLAT1様のトランスポーターは薬物の標的となり得るものとの結論に達した。
  • 九十九 透仁, 安東 嗣修, 山口 朋美, 野島 浩史, 倉石 泰
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 17-21
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    アトピー性皮膚炎(AD)の動物モデルと考えられているNC系マウスをconventional環境下で飼育すると,自然発症的に掻き動作を惹起する。この行動は実験者の方へ注意を向けさせることや,オピオイド拮抗薬のnaltrexone (1 mg/kg)の皮下投与により抑制され,ヒトの痒みに類似した性質を示すことから,痒みに関連した行動であると考えられる。一酸化窒素(NO)合成酵素のNG-nitro-L-arginine methyl ester (L-NAME, 10 mg/kg)の静脈内投与はエナンチオマーのD-NAME (10 mg/kg)や生理食塩水投与群と比較して有意にNC系マウスの掻痒反応を抑制した。マイクロダイアリシス法によりNC系マウスが掻き動作を惹起する吻側背部,及び掻き動作を惹起しない尾側背部の皮膚内NO濃度を測定したところ,吻側背部において尾側背部に比べ著しいNO濃度の増加がみられた。さらに,L-NAME (10 mg/kg, i.v.)はNC系マウスの吻側背部におけるNO濃度の増加を抑制した。これらの結果は,NC系マウスの自然発症掻痒反応の発症又は増悪にNOが関与することを示唆する。NC系マウスがADの動物モデルであることを考え合わせると,NOがAD患者の痒み治療の新しい標的となる可能性が推測される。
  • R.M. Wallis
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 22-26
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    Sildenafil (1-[4-ethoxy-3-(6, 7-dihydro-1-methyl-7-oxo-3-propyl-1H-pyrazolo [4, 3-d]pyrimidin-5-yl) phenylsulphonyl]-4-methylpiperazine) has been shown to be an effective oral treatment for male erectile dysfunction. Sildenafil is a potent competitive inhibitor of PDE5 (IC50 3.5 nM) and is selective over PDEI to 4 (80 to 19, 000-fold) and retinal PDE6 (10-fold). Sildenafil enhanced cGMP accumulation driven with sodium nitroprusside in the corpus cavernosum of rabbits without affecting cAMP formulation. In the absence of nitric oxide drive, sildenafil had no functional effect on the human and rabbit isolated corpus cavernosum, but potently potentiated the relaxant effects of nitric oxide on these tissues. In the anaesthetised dog, sildenafil (ED50: 12 to 16 μg/kg i.v.) enhanced the increase in intracavernosal pressure induced by electrical stimulation of the pelvic nerve or intracavernosal injection of sodium nitroprusside in the absence of meaningful effects on blood pressure. Consistent with its mode of action, sildenafil potentiated the vasorelaxant effects of glyceryl trinitrate on rabbit isolated aortic rings. However, unlike milrinone, sildenafil had no inotropic effects on the dog isolated trabeculae carneae. Thus it is unlikely to have the deleterious effects on cardiac function associated with PDE3 inhibitors. As a consequence of inhibition of PDE6 in the retina, sildenafil (1 to 100 μM) altered the kinetics of the light response of the dog isolated retina. In the anaesthetised dog, sildenafil modified the a and b-wave of the electroretinogram induced by a flash of blue light. These effects were proportional to plasma concentrations, were fully reversible and only occurred following plasma concentrations higher (approximately 30-fold) than those active on intracavernosal pressure. These studies have shown that sildenafil is a potent and selective inhibitor of PDE5. It enhances the effect of nitric oxide on the corpus cavernosum and has been shown to be an effective oral treatment of erectile dysfunction.
  • 石田 行知, 友田 樺夫, 百瀬 和享
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 27-32
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    一酸化窒素合成酵素(NOS)はヘム蛋白質であり、その基質はアルギニンである。ここでは、ヘム蛋白質のカタラーゼやミオグロビンを介して生成される一酸化窒素(NO)の血管弛緩反応について解析した。最近の毒物混入事件で用いられたアジ化ナトリウム(azide)は1 nMから10 μMで摘出大動脈を弛緩させ、この有効濃度はミトコンドリア呼吸を抑制するよりもさらに低濃度である。また、亜硝酸ナトリウム(0.1-10 mM)も大動脈を弛緩させた。これらの弛緩反応は、NOS阻害薬では全く抑制されず、guanylate cyclase阻害薬等によって抑制された。azideは血管のcGMP含量を著しく増加させた。NO感受性電極を用いると、azideや亜硝酸を投与すると血管からNOが生成することが確認された。また、azideとカタラーゼ、および亜硝酸とミオグロビンをインキュベートするとNOが生成した。azideの血管弛緩作用の効力と血管のカタラーゼ抑制効力は一致した。また、血管平滑筋にミオグロビンの存在することが免疫組織法で確認された。これらの結果から、azideとカタラーゼおよび亜硝酸とミオグロビンの反応から生成されたNOがcGMPを増加させ、血管平滑筋を弛緩させることが結論される。さらに、hydroxylamineはカタラーゼーNO系を介して血管を弛緩させることが示唆された。生体ではアルギニンからhydroxylamineが生成する場合があることが知られているので、カタラーゼはそのhydroxylamineからさらにNOを生成して血管弛緩作用を引き起こし得ることが考えられる、また、生体内での硝酸代謝が亜硝酸生成に傾いたとき、ミオグロビンを介するNOが血管を弛緩させることが示唆される。このようにNOS以外のヘム蛋白質もNOの病態生理学的役割に関与することが考えられる。
  • 東 洋
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 33-40
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    ウサギ総頸動脈内皮剥離後の血管リモデリング過程におけるendogenous NOS inhibitors (NG-monomethyl-L-arginine: L-NMMAならびにNG,NG-dimethyl-L-arginine: ADMA)の役割を中心にL-arginine―endogenous NOS inhibitors―endothelin-1 pathwayの関与について検討した。L-NMMAならびにADMAが内皮細胞中に蓄積するとNOS活性が阻害され、L-arginineからのNO産生が低下する。その結果、血管壁でのendothelin-1産生は亢進し、このことも内膜肥厚の発症・進展に関与する。また、L-NMMAならびにADMAの膜輸送はendothelin-1によって促進される。すなわち、endothelin-1の増加によって内皮細胞でのNO産生は一層低下し、肥厚の増悪を招く可能性について示した。しかしながら、血管リモデリング過程にはこの他にも様々な因子が介在しており全容については不明の点が多い。今後の検討結果が期待される。
  • 高井 真司, 金 徳男, 宮崎 瑞夫
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 41-47
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    ヒトキマーゼは、アンジオテンシン(ANG)IをANGIIへ変換することより、その病態生理学的意義が注目されているが、その阻害薬の有用性も含め不明な点が多い。キマーゼは動物種差により、基質特異性が大きく異なり、ヒトキマーゼはANGIをANGIIへ変換するが、ラットキマーゼはANGIを不活性物質へ変換し、ANGIIを産生しない。ヒト以外でANGII産生能を有するキマーゼを持つ動物としてはサル、イヌ、ハムスターを報告してきた。これらの動物種差はANGIを血管に作用させた場合に顕著である。ラットではアンジオテンシン変換酵素阻害薬(ACE)存在下でANGIを作用させても収縮反応がみられないが、ヒト、サル、イヌ、ハムスターではその収縮反応が完全には抑制されず、キマーゼ阻害薬との併用で消失する。これらの結果は明らかにキマーゼの産生するANGIIが血管で機能している可能性を示唆する。しかし、ハムスター高血圧モデルでは、血圧上昇に伴い血管壁ACE活性のみが上昇し、ACE阻害薬とANGII受容体拮抗薬が同程度に降圧作用を示すことからも高血圧の発症維持機構にキマーゼは関与しないと考えられる。一方、ANGIIは血管収縮作用に加え、血管リモデリングにも関与していることが知られている。イヌのバルーンカテーテル傷害に伴う血管肥厚モデルでは、傷害血管肥厚部位において、ACEおよびキマーゼ活性の有意な上昇がみられた(ACE活性、2.5倍; キマーゼ活性、3倍)。このモデルではACE阻害薬に比してANGII受容体拮抗薬がその血管肥厚を強く抑制した。イヌのバイパスグラフトモデルにおける血管肥厚部位では、ACE活性が2倍、キマーゼ活性は15倍上昇していた。このモデルでは、ANGII受容体拮抗薬およびキマーゼ阻害薬が有意に血管肥厚を抑制したことより、キマーゼの産生するANGIIが血管肥厚に重要な役割を果たすと考えられる。従って、キマーゼの産生するANGIIは循環動態の維持機構よりむしろ局所炎症傷害による血管リモデリングに関与する可能性が高く、その阻害薬は血圧に影響を与えずに血管肥厚を抑制すると考えられる。
  • 村松 理子, 片田 淳, 林 泉, 馬嶋 正隆
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 48-54
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    今回、我々はAngiotensin converting enzyme (ACE)以外のAngiotensin II (Ang II)産生酵素であるchymaseの、血管新生における役割をハムスタースポンジ皮下移植モデルを用いて検討した。Chymaseによって産生されるAng II、及び不活性前駆体であるAngiotensin I (Ang I)自身をスポンジ内に直接投与したところ、血管新生が誘導されたことからAng IIが血管新生促進作用を有すること、さらに投与部位周囲に変換酵素が存在することが示唆された。更に生体内での強力な血管新生誘導因子であるbasic fibroblast growth factor (bFGF)よって誘導される血管新生においてAng II type I受容対拮抗薬であるTCV-116及びchymase阻害薬であるchymostatinはbFGF誘導血管新生を有意に抑制した。このことから生理的な血管新生において内因性のAng IIが誘導因子のひとつとして働くこと、さらにその変換にchymaseが関与していることが明らかとなった。そこで、chymaseの強発現により血管新生が誘導されるかを検討した。ヒトpro-chymase transfection及び精製chymaseの投与により血管新生は有意に促進された。また、精製chymaseにより誘導された血管新生はTCV-116によって約50%抑制されたことから、chymaseはAng IからAng IIを産生する経路と、さらに他の経路を介して血管新生を誘導することが示唆された。このAng IIにより誘導される血管新生はVEGF antisenseにより抑制されることから、chymaseにより産生されたAng IIはVEGFのup-regulationを介して血管新生を誘導していると考えられる。
  • 角田 宏, 鈴木 秀謙, 金丸 憲司, 田中 利男
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 55-59
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    我々は、Fluorescent Diferential Display法(FDD法)を用いて、ラット脳血管攣縮モデルにおける脳血管攣縮関連遺伝子を検索した。その結果、攣縮脳動脈でupregulationされることが明かとなった遺伝子群の一つにheme oxygenase-1(HO-1)が認められた。さらに定量的RT-PCR法を用いてHC-1 mRNAが、クモ膜下出血後の脳底動脈に著明に誘導されることを明らかにした。HO-1 mRNAレベルと脳血管攣縮の程度とには、有意な相関を認めた。Antisense HO-1 oligodeoxynucleotide(ODN)の大槽内注入により、脳底動脈のHO-1 mRNAおよびHO-1蛋白質誘導が明らかに抑制され、脳血管攣縮攣縮が増悪した。以上の結果より、HO-1はクモ膜下出血後の脳血管攣縮において、内因性抗脳血管攣縮分子として作用していることが示唆された。
  • 松田 譲, 長谷川 一英
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 60-65
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    血管平滑筋細胞が収縮型から合成型へ形質を変換し異常増殖することが、動脈硬化症の原因の一つとしてあげられる。そこで動脈硬化巣にみられる合成型平滑筋細胞を収縮型に誘導することができれば、平滑筋細胞の増殖が抑制され動脈硬化を治療できると考えられる。このような薬剤(平滑筋細胞形質制御薬)の開発を目的として、試験管内で平滑筋細胞の形質変換を再現する系を構築した。系の構築にあたり、温度感受性変異SV40ラージT抗原トランスジェニックマウスの大動脈より平滑筋細胞を単離、培養して株化細胞(SVS)を樹立した。SVS株は33°Cで培養すると、合成型に近い性質を示した。一方、39°Cで培養すると収縮型に近い性質を示した。したがって、SVS株は培養温度により形質をコントロールできる、形質制御薬の探索に適した細胞ということができる。SVS株を用いて、マーカー遺伝子の発現量を簡便にモニターできるレポーター系を構築し、約40,000の合成化合物をアッセイした。その結果、10個の化合物がマーカー遺伝子の発現を上昇させた。その中の一つがアスコルビン酸であった。アスコルビン酸は濃度依存的、時間依存的にマーカー蛋白質の発現を上昇させた。さらにアスコルビン酸はin vivoにおいても、血管平滑筋におけるマーカー蛋白質の発現を上昇させ、形質制御薬として有望であることが示唆された。
  • 瀬戸 実, 多久 和陽, 佐々木 泰治
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 66-70
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    収縮刺激を受けた血管平滑筋において、細胞内カルシウム濃度、ミオシン軽鎖(MLC)リン酸化レベルと血管収縮力とは常に一致しているとは限らない。更に、血管攣縮を伴う病態血管では収縮刺激に強く反応し、MLCリン酸化も亢進し、時として持続したリン酸化が見られる。このMLCの2重リン酸化(Thr18/Ser19)を含むMLCリン酸化反応の亢進は、リン酸化反応の亢進ばかりではなく、脱リン酸化反応の抑制による可能性もでてきた。ミオシン・フォスファターゼ(PP1-M)の調節因子、MBS130KはRho-kinase依存的にリン酸化され、その活性を抑制する。今回、Rho-kinaseリン酸化サイト、Thr654のリン酸化部位認識抗体を作成し、病態血管の攣縮におけるMBS130K・リン酸化、MLCリン酸化、及び収縮との関係を検討した。更に、この実験系を用いて、抗血管攣縮作用を有するエリル(ファスジル、HA1077)の分子作用機序を検討した。家兎総頸動脈をPGF2αで刺激するとMLC 2重リン酸化を伴う収縮が見られるが、同時にMBS130Kのリン酸化も観察された。Rho-kinaseを抑制するエリルとその活性代謝物は、この130Kのリン酸化を抑制し、MLCのリン酸化も抑制した。一方、内膜損傷・肥厚血管では130Kのリン酸化は亢進し、MLCリン酸化と良く相関した。これらの事と現在までに得られた成績をふまえて、エリルの抗攣縮作用の分子機序について検討したい。
  • 小濱 一弘
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 71-74
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    ミオシン軽鎖キナーゼ(MLCK)はCa2+とカルモジュリン存在下で、平滑筋ミオシン軽鎖をリン酸化し、そのATPaseを活性化する酵素である。MLCKは多機能性で、アクチン結合性やミオシン結合性が古くから知られていたが、これらの性質が、アクチン-ミオシン相互作用を修飾し得ることが演者らの手により解明されて来た。特に、MLCKミオシン結合性のAla796 - Ser815の配列が平滑筋ミオシンATPaseを非リン酸化のままで活性化する(Ye et al. Proc. Natl. Aca. Sci. USA 96 666-6671, 1999)事に興味をもち、この生理的意義を知る目的で平滑筋細胞内でMLCKの発現の阻害を行なった。母体には血管平滑筋由来のSM3(Sasaki et al. J. Biochem. 106 1009-1018, 1989)を用い、プラスミドベクターによりMLCKのcDNAの一部をアンチセンス方向でSM3細胞に導入し、MLCK・mRNAのアンチセンスを細胞内で発現させた。薬剤耐性を目安にスクリーニングをし、これによりMCLK・欠損株をstable transfectantとして得ることができた。この欠損株の顕著な性質は、細胞運動能が減少している事であった。SM3は血小板由来成長因子(PDGF)によりmembrane ruffling(MR)を伴う細胞運動を示すが、欠損株ではこれが見られなかった。この観察はMLCKが細胞運動に必須である事を証明するものであるが、MLCKの多機能のうち、どの機能が関与しているかは明らかでない。そこで、controlのSM3細胞に、MLCKのキナーゼ活性阻害薬(ML-9)を与え、MRの発生を調べた。ML-9の有無にかかわらずMRが観察されたが、これはMLCKのキナーゼ活性は細胞運動に関与していないことをいみし、リン酸化を経由しないミオシン活性化の機能が働いている可能性が認められた。平滑筋の収縮であるか、これは培養下では困難が多いが、MLCK欠損株における結果についても言及する。
  • 黒瀬 等, 西田 基宏, 長尾 拓
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 75-80
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    過酸化水素(H2O2)でラット新生児の心室筋を処理すると、ERK(extracellular signal regulated kinase)が活性化される。三量体Gタンパク質の所サブユニットを捕捉しエフェクター分子との相互作用を阻害するGタンパク質共役型受容体キナーゼ2(G protein-coupled receptor kinase2, GRK2)のカルボキシル末端(GRK2-ct)を発現させておくと、H2O2処理によるERKの活性化は抑制された。また、ホスファチジルイノシトール-3-リン酸キナーゼ(PI3K)によって活性化されるAktもGRK2-ctは抑制した。しかしながら、ホルボールエステル(PMA)によるERKの活性化にはGRK2-ctは影響しなかった。H2O2処理によりERKのみならずc-Jun NH2-teminal Kinase(JNK)やp38が活性化されたにもかかわらず、JNKやp38の活性化はほとんど影響されなかった。これらの結果は、H2O2処理によって活性化されるERK、JNKやp38のうちERKの活性化のみがβγサブユニットを介して起こることを示している。これまでsrc、プロテインキナーゼC(PKC)やrasがH2O2処理によるERKの活性化に関与すると報告されていたが、これらシグナル伝達分子の上流に位置するGタンパク質がH2O2により活性化されている可能性が示唆された。GRK2-ctは選択的にERKの活性化のみを抑制することから、βγサブユニットは新たな薬物ターゲットになるかもしれない。
  • 久恒 昭哲, 宇藤 文子, 小柳 孝史, 千原 崇裕, 宮田 健, Carol Basbaum, 甲斐 広文
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 81-85
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    マクロファージにおけるlysozyme遺伝子の発現は,Ets転写因子PU.1により調節されている.しかしながら,気道上皮細胞における発現調節機構は未だ不明である.我々はすでにlysozyme遺伝子の転写開始部位から約50bp上流にあるEts結合部位が上皮細胞特異的lysozyme遺伝子の発現に重要であることを報告した.本研究において,各種Ets転写因子のlysozyme遺伝子発現調節に対する影響を検討した結果,lysozymeの上皮細胞特異的な発現調節にEts転写因子MEFが関わることが明らかになった.
  • 久山 哲廣, 猪本 美佳, 日置 由佳理, 福井 裕行
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 86-91
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    Protein kinase Cα(PKCα)に対するantisense-oligodeoxynucleotide(AS-PKCα)を培養血管平滑筋細胞(VSMC)にtransfectionし,PKCαをknockdownした状態で,インターロイキン1β(IL-1β)刺激による誘導型NO合成酵素(iNOS)遺伝子発現およびNF-κBの核内移行をそれぞれRT-PCR/Northern blot及びEMSA法を用いて観察した。また,PKCαの存在はWestern blot法を用いて検討した。AS-PKCαによるPKCαのknockdownはIL-1βによるiNOS遺伝子発現をほぼ50%抑制し,PKC阻害薬であるRo 31-8220を処置した場合は,iNOS遺伝子の発現はほぼ完全に抑制された。従ってiNOS遺伝子発現はPKC依存的であり,PKCαがその活性の約半分を担っていることが示唆された。一方,IL-1β刺激によりNF-κBは細胞質から核内へ移行することが確認された。VSMCにおけるNF-κBは,各種抗体を用いたsupershiftの実験により,p65及びp50のヘテロダイマーであった。iNOS遺伝子発現に対する作用とは異なり,IL-1βによるNF-κBの核内移行はAS-PKCαによるPKCαのknockdown,あるいはRo 31-8220処置により何ら影響を受けなかった。従って,NF-κBの核内移行はPKC非依存的であることが示唆された。
    以上の結果より,IL-1β刺激によりNF-κBの核内移行が観察されたが,この反応はiNOS遺伝子発現とは異なり,PKCαおよびそれ以外のPKC isozymesによる調節を受けない,PKC非依存的な経路を介していると思われた。NF-κBがpromoter上のκBサイトに結合したのち,実際に転写活性を高める過程にPKCαが関与している可能性が考えられる。
  • 野村 靖幸, 上原 孝, 西屋 禎
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 92-95
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    転写因子NF-κBの活性制御機構を明らかにするために,ラットC6グリオーマ細胞を使用し,細菌内毒素(LPS)/IFNγ刺激に伴う誘導型NO合成酵素(iNOS)発現,およびIL-1β刺激に伴うケモカイン(CINC)発現へのNF-κB活性化(p50·p65·IκBαの複合体よりIκBαを脱離し,活性2量体p50·p65を形成する反応)の関与とその機構を検討した.その結果,優性抑制変異型IκBαを強制発現したC6細胞では,LPS/IFNγによるiNOS発現が抑制されることからNF-κB/IκBαがiNOS発現に重要な役割を果たすこと,またIL-1βによるCINC発現にはNF-κBが深く関わること,さらに一過性のNF-κB活性化にはIκBαのリン酸化,ユビキチン化よりもプロテアソーム活性が関わることが示された.この結果は,脳虚血などのストレスに伴う脳ニューロン死や浮腫の発症に関わるNF-κB活性化系を標的とする新規抗脳梗塞薬の開発に有用な示唆を与えると考えられる.
  • 岩室 康司, 張 暁峰, 岡本 安雄, 三輪 聡一, 眞崎 知生
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 96-102
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    エンドセリン-1(ET-1)の血管収縮作用は細胞内遊離Ca2+濃度([Ca2+]i)の増加を介するが,これは細胞外からのCa2+流入に依存する。本研究では,ラット大動脈平滑筋由来の系統細胞であるA7r5細胞において,パッチクランプ法の全細胞記録および[Ca2+]i測定を行い,ET-1により活性化される電位非依存性Ca2+チャンネルを解析するとともに,これらのチャンネルの薬理学的性質を受容体作動性Ca2+流入遮断薬(SK&F 96365およびLOE 908)を用いて検討した。その結果,ET-1により2種類のCa2+透過性非選択的陽イオンチャンネル(NSCC-1とNSCC-2と命名)とストア作働性Ca2+チャンネル(SOCC)が活性化されることが明らかとなった。また,これらのチャンネルはSK&F 96365およびLOE 908を用いることにより薬理学的に区別できることを示した。すなわち,NSCC-1はLOE 908感受性/SK&F 96365抵抗性であり,NSCC-2はLOE 908およびSK&F 96365の両方に感受性であり,SOCCはLOE 908抵抗性/SK&F 96365感受性であることがわかった。これらの薬物を用いて,ET-1刺激により誘発される[Ca2+]iの増加に関与するCa2+チャンネルを検討し,低濃度のET-1刺激の場合には専らNSCC-1を介したCa2+流入によること,また,高濃度のET-1刺激の場合には,上記3つの電位非依存性Ca2+チャンネルを介したCa2+流入がほぼ同程度関与することを明らかにした。
  • 張 暁峰, 岩室 康司, 岡本 安雄, 三輪 聡一, 眞崎 知生
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 103-109
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    エンドセリン-1(ET-1)は強力な血管収縮性のペプチドであり,その作用は細胞内遊離Ca2+濃度([Ca2+]i)の増加を介するが,これは細胞外からのCa2+流入に依存する。我々は,血管平滑筋において,Ca2+流入経路として,電位依存性Ca2+チャンネル(VOCC)の他に,3種類の電位非依存性Ca2+チャンネル―非選択的陽イオンチャンネルタイプ-1(NSCC-1),タイプ-2(NSCC-2)およびストア作動性Ca2+チャンネル(SOCC)―が活性化されること,さらに新しいCa2+チャンネル遮断薬(SK&F 96365およびLOE 908)を導入し,これらのチャンネルを薬理学的に区別できることを示した。本研究では,ET-1による血管収縮におけるこれらのチャンネルの生理学的意義を明らかにするため,ET-1によるラット胸部大動脈平滑筋の収縮および[Ca2+]iの増加に対するSK&F 96365およびLOE 908の影響を検討した。ET-1による血管収縮および[Ca2+]iの増加は,細胞外液のCa2+を除去するとほぼ消失したが,電位依存性Ca2+チャンネルの阻害薬であるニフェジピンでは全く影響を受けなかった。低濃度(≤0.1 nM)ET-1による収縮および[Ca2+]iの増加はSK&F 96365またはLOE 908の単独投与によりほぼ完全に抑制された。一方,高濃度(≥1 nM)ET-1の場合は,LOE 908またはSK&F 96365の単独投与により約30-40%および約10%まで抑制された。LOE 908およびSK&F 96365を同時に投与すると収縮および[Ca2+]iの増加はほぼ完全に消失した。また,ラット胸部大動脈および単離平滑筋細胞を小胞体のCa2+ポンプの阻害剤であるthapsigarginにより前処理した後にCa2+を添加すると収縮および[Ca2+]iの増加が誘発された。この収縮および[Ca2+]iの増加はSK&F 96365により完全に抑制されたが,ニフェジピンまたはLOE 908では影響を受けなかった。以上の結果より,ET-1によるラット胸部大動脈の収縮は,3種類の電位非依存性Ca2+チャンネルを介したCa2+流入によることが明らかとなった。すなわち,低濃度のET-1刺激による血管収縮にはNSCC-2のみが関与するが,高濃度のET-1刺激による血管収縮にはNSCC-1,NSCC-2およびSOCCが関与することを示した。
  • 谷口 隆信, 稲垣 里夏, 高氏 留美子, 鈴木 史子, 村松 郁延
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 110-112
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    細胞外の微少なpH変化を検出できるマイクロフィジオメーターを用い,ヒトα1aアドレナリン受容体を発現させたCHO細胞において,ノルアドレナリン刺激による細胞からの酸排出反応を解析した。時間軸に沿って2つのピークが認められ,1つ目は刺激後10秒程度で極大に達する早い相で,2つ目は2分後にプラトーに達する遅い相であった。いずれの相もノルアドレナリンの濃度に依存して増大したが,pEC50値は,6.0及び6.6と早い相で低値を示した。どちらの相もアミロライドやその類似体でほとんど抑制され,Na/H交換体を介した反応であると考えられた。これらの酸排出反応におけるCaの関与を検討したところ,BAPTA/EGTA処置によって早い相はほぼ完全に抑制されたが,遅い相はあまり影響を受けなかった。早い相におけるCa依存性についてCaチャネル阻害薬を用いてさらに検討したところ,抑制効果はEGTA,Ni,LOE908で認められ,nifedipine,verapamil,SKF96365,conotoxinGIVAはほとんど効果がなかった。ノルアドレナリンの反復刺激で阻害薬の抑制効果は増強し,α1アドレナリン受容体刺激時における酸排出反応の早い相には,細胞内の貯留Caと受容体作動性Caチャネルが関与していることが示唆された。
  • 谷津 雄之, 戸村 裕一, 田原 敦生, 和田 浩一, 草山 俊之, 塚田 純子, 田中 昭弘, 飯泉 祐一, 本田 一男
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 113-117
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    Conivaptan hydrochrolide(YM087)の薬理作用をin vitroおよびin vivo実験にて検討した.受容体結合実験において,YM087はV1A受容体およびV2受容体にほぼ同等でバソプレシン(AVP)に匹敵する高い親和性を示し,種差は認められなかった.YM087はAVPのヒトV1A受容体を介する細胞内Ca2+上昇作用およびヒトV2受容体を介するcAMP産生増加作用をいずれも濃度依存的に抑制した.ラットおよびイヌへの静脈内投与実験において,YM087はAVPの昇圧反応を用量依存的に抑制し,用量依存的な水利尿作用を発現した.経口投与実験において,YM087は強力かつ持続的なV1A/V2受容体遮断作用を示した.心不全モデルにおいて,YM087は心血行動態の改善,水利尿作用および低ナトリウム血症の是正を伴う予後の改善作用を示した.以上の結果より,YM087は世界初の経口投与で有効なV1A/V2両受容体遮断薬であることが示され,心不全や低ナトリウム血症の治療薬としての有用性が示唆された.
  • 堀之内 孝広, 辻谷 典彦, 小池 勝夫
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 118-122
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    今回の研究ではモルモット胃底,十二指腸及び回腸において弛緩反応に関与するatypical β-アドレナリン受容体(AR)の薬理学的特徴をカテコラミン(イソプレナリン,ノルアドレナリン及びアドレナリン),β3-AR作用薬(BRL37344及びCGP12177A)及び非選択的β1-,β2-,β3-AR拮抗薬であるブプラノロールを用いて受容体拮抗実験により明らかにした。また,各作用薬に対するブプラノロールのpA2値を比較することによりこれらの組織間に部位差があるかどうか検討した。モルモット胃底,十二指腸及び回腸においてカテコラミン及びβ3-AR作用薬により濃度依存的な弛緩反応が生じ,カテコラミンの効力順位はイソプレナリン>ノルアドレナリン>アドレナリンとなった。この効力順位はラット空腸などのβ3-ARを介した反応で得られる知見と一致した。また,β1-及びβ2-ARを遮断した条件下,カテコラミンの濃度反応曲線は多少右方へ移動したもののカテコラミンの効力順位は変化せず,β3-AR作用薬の濃度反応曲線はほとんど影響を受けなかった。これらの結果はモルモット胃底,十二指腸及び回腸に機能的なatypical β-ARの存在を示唆している。さらに,同じくβ1-及びβ2-ARを遮断した条件下,カテコラミン及びβ3-AR作用薬の濃度反応曲線はブプラノロールにより濃度依存的に右方へ移動し,Schild plotのslopeは1と有意な差は認められなかった。また,各作用薬に対するブプラノロールのpA2値はモルモット胃底,十二指腸及び回腸の間において有意な差はなかったことからこれらの組織に存在するatypical β-ARは薬理学的に同一であり,部位差はないと考えられた。
  • 大貫 敏男, 長友 孝文, 石黒 正路
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 123-126
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    二次元電子密度マップから推定されたbactehorhodopsinあるいはfrog rhodopsinの構造をテンプレートとして、コンピュータ解析によりヒト-アドレナリン性β受容体の膜貫通部位の三次元構造を推定した。それぞれのテンプレートに由来する二つのモデルにおいて、推定されたα-helix領域、およびその相対位置あるいは配向性などに違いが認められた。このモデルを用い、代表的β受容体アンタゴニストであるpropranolol、および当研究室が薬理学的研究を行ってきた持続性β受容体アンタゴニストであるbopindolol(4-(3-t-butylamino-2-benzoyloxypropoxy)-2-methylindole)の結合様式を推定した。どちらのモデルを用いても、アンタゴニストの結合様式を推定することができた。しかし、両モデルにおいて推定された結合様式は異なっていた。すなわち、両モデルにおいてN末端から3、4、5および6番目のα-helixが結合に関与すると推定された点では一致するものの、関与するであろうアミノ酸残基が異なっていた。さらに、推定された結合様式からpropranololおよびbopindololのサブタイプ選択性、つまりβ1およびβ2サブタイプに対して高親和性であるが、β3サブタイプに対しては低親和性である点を一部説明することができた。
  • 小林 拓也, 牛首 文隆, 成宮 周
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 127-129
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    プロスタノイド受容体はロドプシン型受容体ファミリーに属し、プロスタノイド受容体サブファミリーとして共通構造を持っている。この共通構造が、プロスタノイドの基本骨格を認識し、受容体の他の部分が、各プロスタノイドに対する結合特異性を決定すると考えられる。我々は、これまでに異なる2種の受容体を組み合わせたキメラ受容体を作成し、リガンド結合親和性を比較することにより、側鎖構造の識別には、第5~6膜貫通領域が関与しており、五員環構造の識別には、第1細胞外ルーフよりN末端側が関与していることを示唆した。今回、さらに五員環構造識別に関与するアミノ酸を特定することを目的として、マウスPGD2受容体(mDP)とマウスPGI2受容体(mIP)の間で、キメラ受容体およびアミノ酸変異受容体を作成した。これら受容体をCOS細胞に発現させPGD2,PGE1,PGE2,PGF2αおよびIPアゴニストであるiloprostに対する結合性を検討した。その結果、mDPの第2膜貫通領域と第1細胞外ルーフをmIPに置き換えるだけで、mDPの持つPGD2結合の特異性を失い、mIPの持つiloprost結合の特異性を獲得した。従って、第2膜貫通領域と第1細胞外ループが五員環構造識別に関与することが示唆された。現在、アミノ酸変異受容体を作成し、五員環構造識別に関与するアミノ酸の同定を行っている。
  • 立花 克郎, 立花 俊郎
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 138-141
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    近年、超音波感受性物質の薬物が次々と発見されているが、今回、白血病細胞株のHL-60細胞にMerocyanine 540(MC540)を用いて音響化学療法を行い、腫瘍細胞の膜レベルでの変化について走査電子顕微鏡で形態学的変化を検討した。白血病細胞株であるHL-60(3×106/ml)の細胞混濁液を試験管に分注し、Merocyanine 540を 15mg/ml添加した。超音波(US: 255 KHz)0.3W/cm2を30秒間連続照射した。control,USのみ,MC540のみ,US+MC540併用の細胞群を走査電子顕微鏡を用いて細胞形態を観察した。USのみでは細胞表面にヒダを形成していた。併用群では細胞表面に多数のディンプル状のくぼみや、細胞膜のひ薄化やホールの形成や細胞破壊を認めた。又、MC540のみでは変化は認められなかった。併用群では、細胞周囲で発生した超音波のエネルギーが細胞膜に結合したMC540に化学変化を躍起し、細胞膜の変化を来していると考えられた。細胞膜表面のホール形成より、遺伝子導入療法との併用の新たな治療法としての発展が期待される。
  • 市原 和夫, 佐藤 久美, 山本 敦子, 星 勝治
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 142-149
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    高コレステロール血症治療薬あるいは高脂血症治療薬である3-hydroxy-3-methyl-glutaryl coenzyme A (HMG-CoA)還元酵素阻害薬の虚血性心疾患モデル動物の心筋収縮に対する作用を調べた。脂溶性HMG-CoA還元酵素阻害薬であるシンバスタチン、アトルバスタチン、フルバスタチン、セリバスタチンを3週間経口投与した動物では、冠動脈結紮による虚血後に結紮を解除して虚血心筋を再灌流した時に生じる収縮不全(スタニング現象)が悪化した。この時心筋組織ATP含量は低下していた。一方、水溶性HMG-CoA還元酵素阻害薬であるプラバスタチンにはこのような作用を認めなかった。HMG-CoA還元酵素反応によって生成するメバロン酸は、ユビキノン生合成の前駆物質でもあるため脂溶性HMG-CoA還元酵素阻害薬は心筋細胞膜を通過して心筋細胞内の本酵素活性を阻害し、心筋細胞内でのユビキノン生合成抑制、ミトコンドリアのATP生成抑制を起こして虚血後再灌流時の心筋収縮不全の悪化をもたらすのかもしれない。
  • 中山 仁, 大神 信孝, 國安 明彦, 宮崎 章, 袴田 秀樹, 堀内 正公
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 150-153
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    スルホニルウレア剤・グリベンクラミド(GB)は、これまで専ら経口性糖尿病治療薬として認識され、用いられてきた。我々は、マクロファージ系ではGBがスカベンジャー受容体ファミリーに属するCD36に結合し、酸化LDLの取り込みを阻害することを見いだした。さらにマクロファージ系での脂質代謝において、GBはコレステロールのエステル化を司るキー酵素、アシルCoA アシルトランスフェラーゼ(ACAT)の活性をも阻害することを見いだした。
  • 小林 裕太, 白波瀬 弘明, 趙 会芳, 柿添 栄一, 奥西 秀樹
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 154-158
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    クロモグリク酸は抗アレルギー薬として広く臨床応用されているが、消化管からの吸収が悪く、適応に限界があった。このような薬物に対し、経口投与可能なプロドラッグをデザインすることで新しい臨床応用を目指すことが可能となる。今回はクロモグリク酸に2つのエチル基と1つのリシル基を導入し経口投与可能としたクロモグリク酸プロドラッグ、cromoglicate lisetil(CL)を用い、慢性関節リウマチの病態モデルであるマウスコラーゲン関節炎に対する、経口投与の治療効果とその作用機序を検討した。DBA/1J雄マウスにウシII型コラーゲンを投与し、関節炎マウスを作成した。関節炎発症後、病態モデル動物にCL(100mg/kg/日)を6週間投与した。CLは未治療群に比べ、肉眼的及びX線写真による症状の進展の抑制、抗コラーゲン抗体産生の抑制効果を示し、さらに炎症部位の肥満細胞数増加をほぼ完全に抑制した。以上より、CLの抗リウマチ治療薬としての可能性が示唆された。また、この結果は肥満細胞の関節炎における病態生理学的意義を示唆するものと考えられた。
  • 原田 直明, 岡嶋 研二, 桂木 猛
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 159-167
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    アデノシンがA2受容体を介して活性化白血球抑制作用を発揮し、ラットの肝虚血再灌流障害を軽減する可能性について、アデノシンおよび選択的A2A受容体刺激剤であるYT-146を用いて検討を行った。formylmethionyl-leucyl-phenylalanineでヒト好中球を刺激した際に認められる好中球エラスターゼの放出に対して、アデノシンおよびYT-146は0.1、1、または10μMで濃度依存的に有意に阻害したが、その阻害は35%であった。一方、A2A受容体の選択的拮抗剤であるZM241385は、コントロールの2倍以上にエラスターゼ放出を促進した。ヒト単球をエンドトキシンで刺激した際に認められるTNF-α産生を、アデノシンおよびYT-146は0.1、1、または10μMで濃度依存的に有意に阻害し、その最大阻害は50%であった。ZM241385は、TNF-α産生に影響は与えなかった。ラットの肝中葉および左葉を60分間虚血後、再灌流すると血中GOT·GPT活性は12時間目に最大値を示した。アデノシンおよびYT-146は濃度依存的にこの血中GOT·GPT活性の上昇を抑制したが、ZM241385はこの上昇に影響を与えなかった。肝虚血再灌流によりひき起こされる肝のTNF-α濃度、cytokine-induced neutrophil chemoattractant(CINC)濃度、およびミエロペルオキシダーゼ(MPO)活性の上昇は、アデノシンおよびYT-146により用量依存的に抑制されたが、これらの上昇はZM241385投与では抑制されなかった。以上の結果から、アデノシンはA2A受容体を介して、おもに肝TNF-α産生を抑制することで、肝虚血再灌流障害を軽減する可能性が示された。
  • 石川 直久, Ossama Hamdy, 前川 寛, 村上 英嗣, 西脇 公俊, 島田 康弘
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 168-172
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    肺浮腫による呼吸不全の治療に資するため、神経原性肺水腫の発生機構について検討してきた。交感神経系電気刺激による肺血管透過性亢進に関与する物質としてneuropeptide Yの薬理学的作用を検討した。ラットの神経肺灌流標本を用いて、neuropeptide Yは、肺血管透過性を亢進させることを示した(ED50は 0.3 - 1 nM)。この作用はreserpine処理、α-、β-プロッカー存在下でも残存した。また、norepinephrineがそれを増強した。この結果は、交感神経刺激による血管透過性亢進と一致した反応であった。Fibrin肺水腫モデルを使って肺内neuropeptide Yの分布を調べた結果、neuropeptide Yは肺胞マクロファージ・肺胞水腫液に見いだされ、水腫液中の濃度は約 200 nMと、水力学的肺水腫の水腫液中のそれに比べ約 10 - 30 倍高い濃度であった。Peptide YYの肺血管透過性に対する作用が見られないこと、neuropeptide Y-13-36の前処理によってneuropeptide Yの肺血管透過性亢進作用が抑制されることから、Neuropeptide Y Y3受容体が関与していることを示唆した。神経原性肺水腫モデルを使ってneuropeptide Y-13-36の前処理の効果を調べた結果、水腫液中の蛋白含量と血清中のそれとの比が減少しており、実験的肺水腫においても血管透過性がneuropeptide Yによって亢進していることが示された。新しいNeuropeptide Y Y3受容体antagonistの開発を通じてさらに明らかになることが期待される。
  • 川畑 篤史, 黒田 良太郎, Morley D. Hollenberg
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 173-179
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    G蛋白共役型受容体の一種であるプロテアーゼ受容体(Protease-activated receptor; PAR)は、細胞膜上に存在しプロテアーゼの細胞外からの作用を仲介している。プロテアーゼは、PAR受容体分子の細胞外N末側ペプチド鎖を特定部位で切断することによって新たなN末を露出させ、これがtethered ligandとなって同じ受容体分子の別の部位に結合することによって受容体の活性化がおこる。現在までにクローニングされている4つのPARsのうち、PAR-1,-3,-4はトロンビンによって活性化され、またPAR-2はトリプシンおよび肥満細胞に存在するトリプターゼによって活性化される。ヒトではPAR-1とPAR-4が、またマウスやラットではPAR-3とPAR-4が血小板の膜上に存在し、トロンビンの血小板活性化作用を媒介している。しかし、血小板以外の種々の臓器・細胞にもこれら3つのトロンビン受容体が広く存在しており、様々な生理機能に関与する可能性が示唆されている。また、PAR-2も生体内に広く分布しており、その生理的役割が次第に明らかにされつつある。我々は、ヒト胎児腎(HEK)細胞におけるカルシウムシグナルを指標とした受容体脱感作実験などにより、PAR-1,PAR-2のアゴニストペプチドの検索および特異性についての評価を行い、各PARに特異的なアゴニストを見いだした。そこで、消化器系機能へのPARsの関与を特異的アゴニストを用いて検討し、次のような結果を得た: 1) 唾液腺中にPAR-2 mRNAが存在し、PAR-2刺激によって唾液分泌がおこる; 2) in vivoでのPAR-2活性化により膵液分泌が促進される; 3) PAR-1およびPAR-2刺激は十二指腸の運動性を変化させる。このようにPARは生体内において種々の生理的あるいは病態生理学的役割を担っていることが示唆されており、創薬のための新たなターゲットとなりうると思われる。
  • 五嶋 良郎, 古川 信也, 新井 信隆, 宮前 丈明, 佐々木 幸夫, 橋本 瑞基, 山本 勇夫, 藤田 浄秀, 赤池 昭紀, 三須 良實
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 180-185
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    DOPAは線条体において修飾物質として作動する。外来投与DOPAは線条体スライスにおいてグルタミン酸(Glu)を遊離する。胎仔線条体神経培養系においてDOPAはGlu遊離を介して神経細胞死を生ずる。生体位線条体においてDOPAは一過性脳虚血によりドパミン、Gluとともに遊離される。DOPA拮抗薬DOPA cyclohexyl ester(DOPA CHE)線条体局所潅流は、Glu遊離・虚血後遅発性神経細胞死を抑制する。海馬CA1領域における虚血誘発性Glu遊離および遅発性神経細胞死もDOPA CHE感受性を示した。脳虚血時、内因性DOPAは線条体および海馬において、DOPA認識部位を介して、Glu遊離・神経細胞死を惹き起こすこと、DOPA認識部位(受容体)が虚血時脳保護薬のターゲットとなりうることが示唆された。
  • 南 勝, 浜上 尚也, 遠藤 泰, 平藤 雅彦, 寺戸 睦子, 井出 肇, 山崎 則子, 吉岡 充弘, 緒方 昭彦, 田代 邦雄
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 186-191
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    ヒトの尿やラットの脳内より見出された内因性モノアミンオキシダーゼ(MAO)活性阻害物質イサチンは、GABAやセロトニン(5-HT)受容体ならびに心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)との関連など多くの機能を発揮する内因性神経活性物質である。腹腔内投与2時間後には線条体のドパミン(DA)とアセチルコリン(ACh)濃度がともに有意に上昇し、イサチンのマイクロダイアリージス灌流によっても線条体からのDAとAChの遊離が有意に上昇する。パーキンソン病患者の尿中イサチン排泄量は重症度に従って上昇する。日本脳炎ウイルスを用いて作成したパーキンソン病モデルラットにイサチンを投与すると、線条体のDA含量の低下が抑制され行動の改善が認められた。イサチンはストレスマーカーのみならず、パーキンソン病の診断と治療にも貢献することが示唆された。
  • 香月 博志, 久米 利明, 金子 周司, 赤池 昭紀
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 192-197
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    我々は中脳の切片培養および中脳切片と線条体切片の共培養を用いて、黒質ドパミンニューロンに対する神経毒および神経保護物質の作用について検討を行った。中脳切片培養にN-methyl-D-aspartate(NMDA; 10-300 μM)を処置すると濃度依存的なドパミンニューロン数の減少が観察された。このドパミンニューロン死は、(-)-deprenyl(0.1-10 μM)をNMDAと同時に適用することによって抑制された。NMDA(10-300 μM)処置によるドパミンニューロン数の減少は中脳―線条体共培養においても観察されたが、中脳単独培養と比較して毒性発現に高濃度のNMDAを必要とした。また、一酸化窒素のドナーであるNOC-18の処置によって惹起されるドパミンニューロン数の減少も、中脳単独培養においてより顕著であった。一方、ドパミン神経毒である1-methyl-4-phenylpyridinium ionや、グルタチオン枯渇作用を有するbuthionine-[S,R]-sulfoximineを処置した場合、中脳単独培養よりもむしろ中脳―線条体共培養において、より低濃度域から生存ニューロン数の有意な減少が観察された。組織構築をin vitroで維持・再構成することのできる脳切片培養系は、分散培養系に比べてよりin vivoに近い環境下の神経細胞を研究対象とすることが可能であり、神経細胞死・神経細胞保護の機序に関する検討を行う上で有用な実験系であると考えられる。
  • 佐藤 友昭, 田中 康一, 大西 佳子, 寺本 豊徳, 平手 謙二, 西川 殷維
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 198-203
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    新規化合物NC-1900は、0.2~1 ng/kgの皮下投与により、glutamic acidをマウス大槽内に投与して誘発される電気ショック回避学習障害に対して保護作用を示した。また、NC-1900の100 pM~1 nMは、生後0日齢のラット大脳皮質培養神経細胞のglutamic acidによって惹起される大脳皮質神経細胞障害(細胞死を含む)に対しても保護作用を示した。NC-1900のこれらの保護作用の用量-反応曲線は、共に、ベル型の様相であった。
  • 石原 熊寿, Muhammad AKBAR, 笹 征史
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 204-208
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    シグマ受容体は,中枢神経系においては精神機能調節,記憶・学習などに関与する可能性がある受容体である.しかし,その生理機能の詳細は未だ不明な点が多い.シグマ受容体の神経活動調節における役割を明らかにするため,海馬スライス標本を用いてシグマ受容体リガンドのOPC-24439の作用を電気生理学的に検討した.生後4-7週齢の雄性Wistar系ラットより厚さ約450 μmの海馬スライスを作成し,細胞外記録法によりCA1野の集合活動電位をまた細胞内記録法によりCA1野ニューロンの単一神経活動を記録した.シェーファー側枝/交連線維の刺激によって誘発されるCA1野の集合活動電位はOPC-24439(1 - 100 μM)により可逆的にかつ用量依存的に抑制された.この抑制作用はシグマ受容体拮抗薬のハロペリドール 1 μMによって拮抗された.細胞内記録においてOPC-24439は記録細胞の静止膜電位に影響を及ぼさなかった.また外的に投与したグルタミン酸による脱分極とそれに伴う活動電位発射に対してもOPC-24439は影響しなかった.これらのことから,シグマ受容体の活性化は海馬の神経活動を抑制することが示された.この抑制作用はCA1野錐体細胞における静止膜電位に影響していないイオンチャネルに対する作用,シナプス前あるいは介在ニューロンに対する作用によると考えられる.
  • 斎藤 亮, 有海 秀人, 窪田 寿彦, 名古 佐知子, 本多 健治, 高野 行夫, 神谷 大雄
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 209-214
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    サブスタンスP(SP)に代表されるタキキニン・ペプチド類には,NK-1,NK-2およびNK-3の3つの受容体が存在し種々の生理反応に関与している。中でもSPとNK-1受容体は延髄の最後野や弧束核に密に存在し,嘔吐に強く関与していると考えられるが,詳細な作用機序は明らかではない。そこで本研究では,嘔吐発現機構における特に延髄最後野のタキキニンNK-1受容体に注目し,新たに開発されたNK-1受容体拮抗薬HSP-117による制吐作用についてフェレットを用いて検討した。フェレットの延髄の3H-SPの結合部位は,弧束核,舌下核,迷走神経背側核,および最後野に密に分布していた。さらに最後野を含む延髄切片をSPで灌流すると,最後野の約50%の細胞に興奮反応が認められた。このSPによる神経活動興奮反応はNK-1受容体アンタゴニストのCP-99,994によって著しく抑制されたことから,フェレットの延髄最後野にNK-1受容体が存在することが明らかとなった。タキキニンNK-1受容体拮抗薬HSP-ll7とCP-99,994のNK-1受容体に対する選択性を,IM-9細胞の膜標品に対する3H-SPの結合阻害実験から調べた。SP,HSP-117およびCP-99,994は,それぞれ3H-SPの結合を濃度依存的に阻害した。HSP-117による阻害は,SPとほぼ同程度で,CP-99,994に比べると約50倍強かった。硫酸銅の経口投与およびモルヒネの皮下投与によって発現する嘔吐反応は,HSP-117およびCP-99,994を脳室内前投与することによってそれぞれの著明に抑制され,その抑制効果はCP-99,994よりHSP-117の方が強かった。さらに,これらの嘔吐反応は最後野の除去,あるいはCP-99,994とHSP-ll7をそれぞれ直接最後野に前投与することにより有意に抑制された。以上のように,最後野のタキキニンNK-1受容体は種々の嘔吐に関わっていることが明らかとなった。さらに,今回用いたHSP-ll7は,タキキニンNK-1受容体拮抗薬として高い選択性と強い嘔吐抑制を有していることが明らかになった。
  • 中畑 則道, 姜 れいき, 久津輪 瑞代, 大泉 康
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 215-219
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    黄岑に含有する活性物質のひとつであるバイカレインの作用について,C6ラットグリオーマ細胞を用いて検討した.バイカレインはヒスタミンによるプロスタグランジンE2(PGE2)生成を用量依存的に抑制した.Ca2+イオノフォアであるA23198によるPGE2生成をもバイカレインは抑制するので,その作用点はCa2+上昇よりも下流であると考えられた.細胞質ボスホリパーゼA2(cPLA2)リン酸化して活性化することの知られているmitogen-activated protein kinase(MAPK=ERK)のp42MAPKおよびp44MAPKは,ヒスタミンやA23187で細胞を刺激することによりリン酸化された.このリン酸化をバイカレインは用量依存的に抑制した.MAPKをリン酸化して活性化するMAP kinase(MEK)のリン酸化もヒスタミンやA23187によってもたらされたが,そのリン酸化もバイカレインによって抑制された.MEKを抗体を用いて免疫沈降させ,MAPKを基質としてin vitroでキナーゼアッセイを行ったところ,そのリン酸化反応はバイカレインでもMEK阻害薬のPD98059でも抑制されなかった.一方,MEKを基質としてrafのin vitroでキナーゼアッセイを行ったところ,バイカレインによってリン酸化が抑制され,またPD98059も抑制作用を示した.以上の結果より,バイカリンはアラキドン酸遊離を引き起こすcPLA2の上流に位置するMAPKカスケードを強く抑制することが明らかになった.その作用点として,rafによるMEKのリン酸化の抑制が考えられた.すなわち,バイカレインは,広く用いられているアスピリン様薬物のシクロオキシゲナーゼの阻害に基づくプロスタノイド産生の抑制とは異なり,アラキドン酸の遊離の上流部の細胞情報伝達系に作用すると考えられる.
  • 松永 公浩, 中谷 圭吾, 村上 昌弘, 中畑 則道, 大泉 康
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 220-224
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    海洋渦鞭毛藻より得られたゴニオドミンAがアクチンに作用することにより骨格筋の再構成アクトミオシン ATPaseを活性化することを見出した。そこでまず、骨格筋のアクトミオシン ATPaseに対する作用を検討した。この物質は、アクチン―ミオシンから成る再構成アクトミオシンおよび天然アクトミオシンのATPase活性を低濃度で顕著に活性化したが、高濃度では抑制した。興味あることに、この活性化作用はトロポニン―トロポミオシンによって顕著に抑制された。一方、ミオフィブリル ATPase活性およびスキンドファイバーの収縮に対してはゴニオドミンAは濃度依存的に抑制作用のみを示した。次に、心筋のアクトミオシン ATPaseに対する作用を検討した。ゴニオドミンAは心房筋のミオフィブリル、天然アクトミオシンおよび再構成アクトミオシンのATPase活性を顕著に抑制した。一方、心室筋の上記各ATPase活性に対しては、骨格筋の場合と同様、低濃度で活性化を示し、この活性化はトロポニン―トロポミオシンによって顕著に抑制された。さらに、ゴニオドミンAはアクトミオシン ATPase活性の修飾に対応した濃度範囲でアクチンのコンフォメーション変化を引き起こした。以上より、ゴニオドミンAのアクトミオシンの活性化および抑制作用はアクチンのコンフォメーション変化を介し、その活性化はトロポニン―トロポミオシンよって抑制されることが明らかになった。また、ゴニオドミンAによる心筋アクトミオシン ATPaseの修飾の違いは心房筋と心室筋のミオシンの構造の違いを反映していると考えられる。さらに、ゴニオドミンAは細胞レベルでもアクチンの機能に影響し、その作用がrhoを介していることが示唆された。
  • 堀 正敏, 松浦 康浩, 善本 亮, 尾崎 博, 安元 健, 唐木 英明
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 225-229
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    ペクテノトキシン-2(PCTX-2)は、養殖ホタテ貝の毒化の原因物質として単離精製・構造決定された、多数のエーテル環とラクトン環を持つマクロライド化合物である。PCTX-2の生理活性作用については、種々の癌化細胞株に細胞毒性を示すことが報告されているが、その詳細は不明である。そこで、本研究は、PCTX-2の生物活性作用を明らかにすることを目的とした。PCTX-2は、ラット大動脈における72.7 mM KClおよび1 μMフェニレフリン収縮を濃度依存性に抑制した。さらに、血管平滑筋由来のAlO細胞を用いて、PCTX-2の細胞形態への影響を検討したところ、PCTX-2は細胞形態には大きな変化を与えなかったが、ローダミン・ファロイジン染色によりアクチンを主成分とするストレスファイバー形成を抑制することが示唆された。次に、PCTX-2が直接アクチン重合を阻害する可能性を検証するために、単離骨格筋アクチン標品を用いてアクチン重合への影響を検討した。PCTX-2は、ピレン蛍光ラベルしたG-アクチンの重合に伴う蛍光強度増強速度とその最大蛍光を濃度依存性に抑制した。また、PCTX-2は濃度依存性にF-アクチンの粘稠度を低下させた。両者の実験系より、PCTX-2とアクチンのストイキオメトリーについて検討したところ、PCTX-2は見かけ上1:4のモル比でG-アクチンと結合することが示唆された。以上の成績から、PCTX-2は強力なアクチン重合阻害作用を持っことが示唆された。
  • 小林 基博, 夏目 紹隆, 渡辺 順一, 藤尾 奈美, 見上 崇, 宮坂 克彦, 塚越 茂
    1999 年 114 巻 supplement 号 p. 230-235
    発行日: 1999年
    公開日: 2007/02/27
    ジャーナル フリー
    我々は優れた抗腫瘍作用を有する化合物を探索していく中で,新規ドラスタチン10誘導体TZT-1027を見出した。TZT-1027は微小管蛋白質重合を濃度依存的に阻害したことから,TZT-1027の抗腫瘍作用機序の1つとして微小管形成阻害作用が考えられた。TZT-1027は3H-ビンブラスチン結合を濃度依存的に阻害した。Scatchard解析の結果,ビンブラスチン結合部位は一つであるのに対して,TZT-1027は二つの結合部位を有すると思われ,ビンブラスチンの結合部位とは完全には同一でないと考えられた。さらに,TZT-1027のチューブリン結合部位はコルヒチン結合部位とは異なると考えられた。HL-60細胞(白血病癌),DU145細胞(前立腺癌)及びMCF-7細胞(乳癌)におけるTZT-1027のアポトーシス誘導能についてDNAの電気泳動による解析を行ったところ,TZT-1027処理によりHL-60細胞及びDU145細胞では,アポトーシスの特徴であるDNAラダーが認められた。一方,MCF-7細胞ではDNAラダーは観察されなかったが,形態学的には核の断片化が認められた。このことから,TZT-1027は,白血病細胞ばかりでなく固形腫瘍に対してもアポトーシスを誘導することが明らかとなった。TZT-1027はヌードマウス可移植性ヒト乳癌MX4及びヒト肺癌LX-1に対し優れた抗腫瘍効果を示した。また,LX-1進行担癌ヌードマウスにおいて,TZT-1027は屠殺2分前に静脈内投与したエバンスブルーの腫瘍への移行を抑制した。以上のことから,TZT-1027は腫瘍細胞に対する直接的な殺細胞効果に加えて,腫瘍血管機能の破綻作用を有することが示唆された。
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