抄録
近年、超音波感受性物質の薬物が次々と発見されているが、今回、白血病細胞株のHL-60細胞にMerocyanine 540(MC540)を用いて音響化学療法を行い、腫瘍細胞の膜レベルでの変化について走査電子顕微鏡で形態学的変化を検討した。白血病細胞株であるHL-60(3×106/ml)の細胞混濁液を試験管に分注し、Merocyanine 540を 15mg/ml添加した。超音波(US: 255 KHz)0.3W/cm2を30秒間連続照射した。control,USのみ,MC540のみ,US+MC540併用の細胞群を走査電子顕微鏡を用いて細胞形態を観察した。USのみでは細胞表面にヒダを形成していた。併用群では細胞表面に多数のディンプル状のくぼみや、細胞膜のひ薄化やホールの形成や細胞破壊を認めた。又、MC540のみでは変化は認められなかった。併用群では、細胞周囲で発生した超音波のエネルギーが細胞膜に結合したMC540に化学変化を躍起し、細胞膜の変化を来していると考えられた。細胞膜表面のホール形成より、遺伝子導入療法との併用の新たな治療法としての発展が期待される。