日本薬理学雑誌
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内因性神経活性物質イサチンのラット脳内ドパミンならびにアセチルコリン濃度に及ぼす影響
南 勝浜上 尚也遠藤 泰平藤 雅彦寺戸 睦子井出 肇山崎 則子吉岡 充弘緒方 昭彦田代 邦雄
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1999 年 114 巻 supplement 号 p. 186-191

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抄録

ヒトの尿やラットの脳内より見出された内因性モノアミンオキシダーゼ(MAO)活性阻害物質イサチンは、GABAやセロトニン(5-HT)受容体ならびに心房性ナトリウム利尿ペプチド(ANP)との関連など多くの機能を発揮する内因性神経活性物質である。腹腔内投与2時間後には線条体のドパミン(DA)とアセチルコリン(ACh)濃度がともに有意に上昇し、イサチンのマイクロダイアリージス灌流によっても線条体からのDAとAChの遊離が有意に上昇する。パーキンソン病患者の尿中イサチン排泄量は重症度に従って上昇する。日本脳炎ウイルスを用いて作成したパーキンソン病モデルラットにイサチンを投与すると、線条体のDA含量の低下が抑制され行動の改善が認められた。イサチンはストレスマーカーのみならず、パーキンソン病の診断と治療にも貢献することが示唆された。

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