抄録
atypica1 β-アドレナリン受容体(atypical β-AR)はβ1-及びβ2-ARとは異なるユニークな特徴を有している。今回,モルモット胃底に存在するatypica1 β-ARを介した弛緩反応を指標として各種薬剤の作用を評価し,atypicalβARの薬理学的な特徴を明らかにした。プロプラノロール,アルプレノロール及びピンドロールは側鎖に共通構造のiso-プロピルアミノ基を有するアリロキシプロパノールアミン(-OCH2CH(OH)CH2NHCH(CH3)2)を持っている。しかしながら,アルプレノロールやピンドロールはatypical β-ARに対して活性作用を有していたが,プロプラノロールは無作用であった。また,ブプラノロール,ナドロール,CGP12177A及びカルテオロールは側鎖にtert-ブチルアミノ基を有するアリロキシプロパノールアミン(-OCH2CH(OH)CH2NHC(CH3)3)を有しているが,atypical β-ARに対して活性作用を示したものはナドロール,CGP12177A及びカルテオロールであり,ブプラノロールは活性作用を示さなかった。このことは,atypical β-ARに対する薬剤の作用がアリロキシプロパノールアミン側鎖の違いよりも芳香環に結合している置換基によって大きく変化することを示唆している。次にatypical β-ARの立体選択性を検討したところ,atypical β-ARにおいて得られた立体異性体の効力比((+)/(-))はモルモット右心耳(β1-AR)やモルモット気管(β2-AR)で得られた効力比より25倍小さく,このことからモルモット胃底のatypical β-ARは立体選択性が顕著に低いことが明らかになった。今後,atypical β-ARの薬剤に対する識別力の違いに関して,コンピュータ解析による分子モデリングなどの研究で解明されることが期待される。