日本薬理学雑誌
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プロスタノイド受容体のリガンド結合ドメインの解析とタイプ選択的アゴニスト・アンタゴニストの開発
小林 拓也成宮 周
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2000 年 116 巻 supplement 号 p. 38-42

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抄録

プロスタノイドはプロスタグランジン(PG)とトロンボキサン(TX)より成る生理活性物質群である。生成されたプロスタノイドは細胞外に放出され、生体内で多彩な作用を発揮する。これらの作用は、標的細胞の細胞膜上にあるプロスタノイド受容体を介して発現される。薬理学的な解析によりPGD,PGE,PGF,PGI,TXの特異的受容体は、各々DP,EP,FP,IP,TPと名付けられ、さらにEPは、種々のPGE類似化合物に対する親和性の違いにより4種類のサブタイプ(EP1,EP2,EP3,EP4)に分類された。我々は、TPをプロスタノイド受容体として初めてヒト血小板より精製し、さらにcDNAのクローン化に成功した。その成果をもとにマウスの8種類のプロスタノイド受容体(DP,EP1,EP2,EP3,EP4,FP,IP,TP)の一次構造を解明した。次に、これらのクローン化受容体を用いてリガンド結合ドメインの構造の解明を試みた。一方、クローン化受容体を発現する細胞株を樹立し、選択的アゴニスト・アンタゴニストの評価に用いた。さらに、我々が作成した8種類の受容体欠損マウスを用い、開発・未開発のアンタゴニストの生体内における作用を解析したい。

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