日本薬理学雑誌
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ヒ素の発達薬理学的研究
2.妊娠,栄養成績,および硬組織におよぼすヒ素の影響について
小島 久史
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1974 年 70 巻 2 号 p. 149-163

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抄録
本研究は雌雄ラット(closed colony田村1950)にヒ素を10,50,100PPm飼料に添加したら,妊娠,出産,哺育,成長期の発育にどのような影響をおよぼすか調べた,1)上記のヒ素量を添加した飼料で雌雄ラットを飼養し,妊娠した雌ラットが出産する仔ラットの数はヒ素を添加しない飼料で飼養した雌ラットの場合と差異は認められなかった.2)離乳後成長期に上記のヒ素量を添加した飼料で飼養した栄養成績はヒ素を添加しない飼料で飼養した栄養成績と統計的に差異を認めなかつた.3)妊娠中および哺育期,離乳期まで上記のヒ素量を添加した飼料で飼養しても,その後の栄養成績はヒ素を添加しない場合と全く差異がなかつた.4)上記のヒ素量を添加した飼料で飼養したラットの臓器重量はヒ素を添加しない飼料で飼養したラットの臓器重量と統計学的に差異を認めなかった.5)妊娠中からヒ素を100ppm添加した飼料で飼養し,生れた仔ラットをさらにヒ素100ppm添加した飼料で12週飼養しても以下述べる諸検査成績は妊娠中からヒ素を添加しない飼料で飼養した場合とほとんど同様でヒ素を添加した影響は認められなかった.すなわち,病理組織学的所見,硬組織所見として骨の破砕強度,骨および歯の乾燥重量,灰分量,CaおよびP含有量,実験的鵡歯の発生などいずれもヒ素を添加した影響は認められなかった.
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