日本薬理学雑誌
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70 巻 , 2 号
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  • 瀬辺 恵鎧, 喜田村 正次, 早川 清子, 住野 公昭
    1974 年 70 巻 2 号 p. 135-148
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    1)mercarbide(M.C.)もmercuroform(M.F.)も共に〓なる一般式で表わされる構造を有し,M,C.ではn=3,MF.ではn=2なることを解説し,さらにM.C.の複素環はその内部ですべての原子価角によるひずみが解消されているために完全なstable trimeric str.であるのに対し,M.F.のそれは,若干のひずみを残しているlabile dimeric str.であることを解説した.ただしM.F.の多くの化学的,物理的行動がM.C.のそれらとほとんど完全に平行的であることから見ればM.F.も非環状構造にまで変移しているとは思われないことを考察した.2)polymercurated acetaldehydesをそれらの1分子内に存在するpolymercury-methyl基の数に従って分類し,かつそれらのalkali水解によって与えられる難溶性塩基はM.C.およびMF.の2種のみに限られることを解説した。
  • 小島 久史
    1974 年 70 巻 2 号 p. 149-163
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    本研究は雌雄ラット(closed colony田村1950)にヒ素を10,50,100PPm飼料に添加したら,妊娠,出産,哺育,成長期の発育にどのような影響をおよぼすか調べた,1)上記のヒ素量を添加した飼料で雌雄ラットを飼養し,妊娠した雌ラットが出産する仔ラットの数はヒ素を添加しない飼料で飼養した雌ラットの場合と差異は認められなかった.2)離乳後成長期に上記のヒ素量を添加した飼料で飼養した栄養成績はヒ素を添加しない飼料で飼養した栄養成績と統計的に差異を認めなかつた.3)妊娠中および哺育期,離乳期まで上記のヒ素量を添加した飼料で飼養しても,その後の栄養成績はヒ素を添加しない場合と全く差異がなかつた.4)上記のヒ素量を添加した飼料で飼養したラットの臓器重量はヒ素を添加しない飼料で飼養したラットの臓器重量と統計学的に差異を認めなかった.5)妊娠中からヒ素を100ppm添加した飼料で飼養し,生れた仔ラットをさらにヒ素100ppm添加した飼料で12週飼養しても以下述べる諸検査成績は妊娠中からヒ素を添加しない飼料で飼養した場合とほとんど同様でヒ素を添加した影響は認められなかった.すなわち,病理組織学的所見,硬組織所見として骨の破砕強度,骨および歯の乾燥重量,灰分量,CaおよびP含有量,実験的鵡歯の発生などいずれもヒ素を添加した影響は認められなかった.
  • 久我 哲郎, 内藤 惇
    1974 年 70 巻 2 号 p. 165-174
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    1)DOPの末梢作用につき,骨格筋ならびに自律神経支配下の諸臓器について,摘出ならびに生体での実験を試み,その相関について検討を加えた.2)DOPはラット摘出横隔膜神経筋伝達を促進したが,生体における坐骨神経腓腸筋伝達には影響をおよぼさなかった。3)モルモット摘出回腸,盲腸紐ならびに大腸において,DOPは10-5g/ml以上の濃度で抑制作用を現わしたが,これは平滑筋におよぼす直接作用によるものと思われる.生体実験では,マウス腸管輸送ならびにバロソ法による腔腸運動のいずれも,DOPの大量応用により抑制効果がみられた.特に後者の場合は一過性で,中枢興奮作用との関連性は認められなかった,4)モルモット摘出輸精管ならびにラット非妊娠子宮の運動も,DOP大量応用により抑制されたが,ラット摘出妊娠子宮の運動は促進された.しかしながら,ウレタソ麻酔下のラット妊娠子宮の自発運動は,DOP大量応用によっても影響されなかった.5)ウレタソ麻酔下のウサギにおけるpilocarpine唾液分泌効果は,2~10mg/kg i.v. DOPでわずかに抑制された.6)これらのDOPによる諸作用に,tachyphylaxisは認められなかった.
  • 遠藤 任彦
    1974 年 70 巻 2 号 p. 175-192
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    1)正三角形three-load cell支持法を使用した高感度の増幅装置を中心とする記録および解析装置を新たに開発した.2)本装置を用いて動物行動,ことに自発運動を連続性をもった三次元要素で自動的に計測し,その結果に数量的解析を施行して再現性を加味した行動の客観的評価を行なった.3)本装置により行動パターン,運動速度分布,移動距離,運動量および三方向成分の経時的変化を解析し得る.4)本装置は行動の数量化に有用なスクリーニング法として適し,また中枢神経系に影響をおよぼす諸種薬物の薬理学的特性をも充分分析的に把握し得るものと考える.5)他の実験装置の併用あるいは単独のみならず集団の動物行動を検索することにより,さらに総合的な精神薬理学的研究を行ない得るものと思考する.
  • 田村 俊吉, 小林 一夫, 小島 久史
    1974 年 70 巻 2 号 p. 193-197
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    ラットにAs2O3 2.0mg/kg/dayを40回合計10.12mgを投与の後,自発運動量を約37週にわたって調査した.ラットはclosed colony(田村,1950)のWistar系albino ratの離乳後の雄を用いた.測定は夏目製作所KN-84TN式動物行動記録装置により,測定時間は2時間,20回測定した.ラットは離乳後50週飼育した.体重は対照群との間に統計学的差異を認めなかった.ラットの自発運動量は対照群との間に統計学的に差異を認めなかった.このヒ素投与量,この実験方法では対照群とヒ素投与群との自発運動量の差異は認められなかった.
  • 平塚 幸蔵, 若林 一夫, 馬屋原 敬民, 山田 重男
    1974 年 70 巻 2 号 p. 199-205
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    アドレナリン誘導体meta-proterenol(M・P),ethyl-adrianol(E-A)およびbutyl-sympatol(B-S)は気管筋に対し弛緩を示す.その作用強度はM-Pが最も強く次にE-A,B-Sの順である.気管筋収縮薬histamine(「H」),acetylcholine(ACh),5-hydroxytryptamine(5-HT),BaCl2による収縮に対してはM-Pが最も強く次にE-A,B-Sの順である.対照薬isoproterenol(Isop),adrenaline(Adr),noradrenaline(Noradr)と比較するとIsop>M-P>Adr>E-A>Noradr>B-Sの順である.M-P,B-Sには軽度のα-receptorの興奮作用が認められる.
  • 河原 慶昌, 山田 重男
    1974 年 70 巻 2 号 p. 207-214
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    胎盤血管系に対する諸種薬物の作用ならびにhypoxia,hypercapnia,anoxiaにした場合の作用を観察し,次の結論を得た.1)胎盤血管はAdr,Noradr,isoproterenol,Phenoxy-benzamine,propranolol,DCI,5-HT,ACh,pilocarpine,atropine,histamine,papaverine,sodiumnitrite,ergotamine,bariumchloride,oxytocin,quinine,caffeine,nicotine,ephedrineに対し常に収縮的に作用する,特にAdr,Noradr,histamine,5-HTに対してはより強力に作用する.2)胎盤血管は酸素濃度の変化に対し敏感に反応し,hyperoxiaでは収縮,hypoxia,hypercapnia,anoxiaでは拡張作用を示す.
  • 小澤 光, 宮内 達雄, 菅原 和信, 笹島 道忠, 相原 弘和, 酒井 健, 田中 一郎
    1974 年 70 巻 2 号 p. 215-230
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    循環系および平滑筋におよぼす塩化リチウム(LiCl)の一般薬理作用について検討し・以下の成績を得た.1)ラット血圧において,Liclの静注により一過性の降圧の後に持続性昇圧作用が見られた.一過性の降圧作用はatropine,propranolol,diphenhydramine,vagotomyにより抑制されなかった.持続性昇圧作用はphentolamine,hexamethonium,reserpine,chlorpromazineにより抑制され,imipramineにより増強された.Pithedratにすると,昇圧作用の持続性が消失し一過性となった.またLiClの大槽内投与でも静注時と同様に持続性の昇圧作用が認められた.Norepinephrine,tyramineによる昇圧作用はLiClにより増強されたが,pithedratにおいては逆に抑制された.2)ネコ血圧において,LiC1の静注によりラットと同様に,一過性の降圧に続く持続性昇圧作用が見られた.この昇圧作用はphentolamineにより抑制されたが,spinal catにしても影響されなかった.頚部交感神経節前線維への電気刺激およびtyramineによる瞬膜の収縮はLiClにより何ら影響を受けなかったが,DMPPによる瞬膜収縮作用はやや抑制された.また頚部交感神経節に直接LiClを注入すると,瞬膜は一過性に収縮し,その後電気刺激による収縮は著明に抑制された.3)Liclをイヌに静注することにより,持続性の心収縮力および心拍数の増加,血圧上昇,末梢血管拡張が認められた.しかし消化管,子宮の自動運動に対してLiclは影響を与えなかった.末梢血管拡張作用はatropine,promethazine,propranololによって遮断されなかった.4)摘出モルモット心臓において,LiCl投与により振幅,拍動数の一過性の減少の後に振幅の増大が見られた.5)摘出モルモット下腹神経-輸精管標本において,LiClは下腹神経節前線維の電気刺激,norepinephrineおよびacetylcholineによる収縮にほとんど影響を与えなかった.6)摘出モルモット回腸標本において,LiClはacetylcholine,BaCl2,histamineおよびserotoninによる収縮に対し影響を与えなかった.7)LiClは高濃度で摘出ラット子宮標本の自動運動の振幅をわずかに増大し,frequencyをわずかに抑制した.またacetylcholine,oxytocinによる子宮の収縮には影響なかった.8)LiClはマウス小腸輸送能を促進した.以上の結果より,LiClは比較的高濃度では中枢作用に由来して,また筋直接作用によって循環系に影響を与えるものと考えられる.
  • 久保田 哲弘, 山田 重男
    1974 年 70 巻 2 号 p. 231-239
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    犬腎潅流標本を用い人為的呼吸障害,O2,CO2,N2を吸入させた場合の腎血流の変化を観察した.1)Expiratory resistanceおよびhyperventilationにより腎血流は減少を示す.その作用は頚動脈血流に比べ強度で回復も遅い.2)HypoxiaならびにhypercaPniaの状態では血圧および頚動脈血流は増加するが腎血流は逆に減少する.
  • 丸山 七朗, 山田 重男, 田代 浩二
    1974 年 70 巻 2 号 p. 241-249
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    キノホルムおよびその関連化合物であるキノリン,オキシン,キノホルム鉄キレート,硫酸抱合型キノホルムの亜急性毒性を病理組織学的に検討し次の結論に達した.1)キノホルム関連化合物を連続25日間投与すると,キノホルム,オキシン,キノリンでは中毒症状がみられるが,キノホルム鉄キレートおよび硫酸抱合型キノホルムでは認められない.2)キノホルムは中枢神経系,大脳皮質,頚髄,腰髄の神経細胞に変性をきたし,特に坐骨神経,腓骨神経,脛骨神経では著明であり,軸索の脱落,髄鞘の断裂,空胞化がみられる.3)キノリンおよびオキシンは大脳,頚髄などには変性をきたさないが,下肢部の腰髄,坐骨神経には軽度な変性を起こす.4)キノホルム鉄キレートは主として内臓臓器を障害し神経系には影響をおよぼさない.5)硫酸抱合型キノホルムは諸臓器および神経系に対して何らの影響もおよぼさない,
  • 三間 哲也, 山田 重男
    1974 年 70 巻 2 号 p. 251-260
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    犬心肺標本を用いてアドレナリソ誘導体,ethyl-adrianol,butyl-sympatol,meta-proterenolの心機能に対する作用を比較観察し次の結論を得た.1)Ethyl-adrianol,butyl-sympatol,meta-proterenolは,postiveinotropicとchronotropic作用がみられ,作用強度はisoproterenolが最も強く,次にadrenaline>noradrenaline>meta-proterenol>ethyl-adrianol>butyl-sympatolの順である.pentobarbital不全心に対してはより強力に作用する.2)三薬物の心臓に対する促進はphenoxybenzamineにより抑制されずpropranololにより抑制される.
  • 鶴見 介登, 平松 保造, 林 元英, 山口 東, 呉 晃一郎, 藤村 一
    1974 年 70 巻 2 号 p. 261-283
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    新規化合物K-308およびその側鎖の酢酸をプロピオン酸に代えたK-309について,抗炎症作用ならびに鎮痛作用をibufenac(IF),ibuprofen(IP)等と比較検討した.1)血管透過性充進ならびに浮腫などの急性炎症反応に対して,K-308はK-309と同等の抑制作用を示し,IFおよびIPと同程度の効力が認められた.2)紫外線紅斑に対してK-308はIFと同程度の抑制作用を示し,K-309はそれらよりわずかに弱かった.3)持続性浮腫および肉芽増殖などの亜急性炎症反応に対して,K-308は明らかな抑制作用を示しIFとほぼ同等の効力が認められた.K-309はそれらよりやや強い効力を示した.4)Adjuvant炎症における予防的ならびに治療的投与法において,K-308はいずれに対しても有意な抑制作用を示したが,K-309の方がやや強力であった.K-309はIPと同等の効力を示したが,Phenylbutazoneよりわずかに弱かった.5)胃粘膜障害作用はK-308とK-309は同等でIFやIPより弱く,胃腸障害は比較的弱いものと考えられた.6)鎮痛作用はK-308がAminopyrineよりわずかに弱い効力を示し,K-309はK-308より弱くIPと同程度であった.特に炎症性落痛Yom..対して有効のようであった.7)PSP排泄に対してK-308とK-309は同程度の抑制作用を示し,軽度な尿酸排泄促進作用が推測された.以上の成績からK-308およびK-309は,急性慢性の炎症性疾患に対してIFおよびIPと同等の効果が期待され,しかもそれらより胃腸障害は少なく,鎮痛抗炎症薬として臨床上価値のあるものと思われる.
  • 植木 昭和, 小笠原 孝, 小川 暢也
    1974 年 70 巻 2 号 p. 285-304
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    マウス,ラットを用いてLiC1の行動薬理学的作用について検討し,chlorpromazineの行用と比較した.1)Open-fieldにおけるラットのambulationならびにrearingはLiClによって抑制され,そのED50はそれぞれ103(52~206)mg/kg,i.p.,48(20-115)mg/kg,i.p.であった.2)中隔野破壊ラットならびに嗅球摘出ラットの情動過多はLiClにより,著明な筋弛緩,運動失調をおこして動けなくなるような400mg/kg,i.p.以上の大量を投与してはじめて抑制された.3)Footshockによって誘発されるマウスのfightingはLiCl,chlorpromazineによって抑制され,そのED50はそれぞれ63(33~120)mg/kg,i.p.および4.5(3.0~6.8)mg/kg,i.p.であった.長期単独隔離マウスのfightingに対するLiclの抑制作用は強く,そのED50は32(22~45)mg/kg,i.p。であった.この作用はLiClを慢性投与しても耐性を発現せず,薬物投与を中止するとふたたびfightingが現われるようになった。4)LiClはshuttle boxにおけるラットの条件回避反応を抑制し,その作用のED50は265(175~410)mg/kg,i.p,.であったが,逃避反応は500mg/kg,i.p.以上ではじめて抑制きれた.LiClおよびchlorpromazineの慢性投与を続けながら,ラットの条件づけを行なった場合,12日後の学習獲得の程度はLiCl 100mg/kg/day,i.p.ならびに200mg/kg/day,i.p.では対照群の約60%,chlorpromazine 1mg/kg/day,i.p,では約50%であった.5)Mescalineによって誘発されるマウスの異常行動はLiClおよびchlorpromazineによって抑制され,そのED50はscratchingに対しては,それぞれ118(69~201)mg/kg,i.p.および1.4(1.0~2.0)mg/kg,i.p.であり,head-twitchに対しては,それぞれ190(98~369)mg/kg,i.p.および2.1(1.5~3.3)mg/kg,i.p.であった.6)Apomorphineによって誘発されるマウスの異常行動はLiclによって抑制され,そのED50はlickingに対しては185(96~355)mg/kg,i.p.であり,bitingに対しては285(151~536)mg/kg,i.p.であった,7)マウスにおけるmethamphetamineの運動量増加作用はLiCl,chlorpromazineによって抑制されそのED50はそれぞれ250(89~1000)mg/kg,i.p.,3.9(1.3~12.1)mg/kg,i.p.であった.8)マウスのthiopenta1睡眠に対して,LiC1はかなり著明な増強作用を示したが,ethanol麻酔増強作用はきわめて弱かった.Chlorpromazineはethano1麻酔増強作用の方がthiopental睡眠増強作用よりも強かった.9)LiClは500mg/kg,i.p.以上をマウスに投与すると,2時間後からcatalepsyを惹起した.10)マウスのrotarod法におけるLiClの協調運動抑制作用はきわめて弱いものであった.11)マウスのinclined screen testにおけるLiClおよびchlorpromazineの筋弛緩作用のED50はそれぞれ,384(295~499)mg/kg,i.p.,4.3(3.2~5.8)mg/kg,i.p.であった.12)LiClはマウスの最大電撃けいれんの後のcomaを延長させた.pentetrazolけいれん閾値はLiClによって低下したが,発現したけいれんは程度が軽かった.13)以上,LiClの行動薬理学的作用は全般的にはchlorpromazineのそれに類似するが,細かな点では,かなり異なった特徴も認められた.
  • 片野 由美, 武田 敬介, 大鳥居 健, 堀井 大治郎, 今井 昭一
    1974 年 70 巻 2 号 p. 305-314
    発行日: 1974年
    公開日: 2007/03/29
    ジャーナル フリー
    作用持続が長く,しかも選択的な冠血管拡張薬として新しく合成されたtrimethoxy-benzoic acid誘導体であるdilazepの心機能,冠循環,心筋エネルギー代謝に対する作用を,近縁の化合物であるhexobendine,冠拡張薬の代表としてのdipyridamoleの作用と比較しつつ,供血犬つきイヌ心肺標本およびモルモットを用いて研究した.1)供血犬つきイヌ心肺標本においてdilazepは冠血管を持続的に拡張せしめたが,同時に心臓に対し抑制的に作用した。この両者はほぼ同じ濃度で現われた.一方hexobendineおよびdipyridamoleも定性的には同じ反応を示したがこれらの物質では冠血管の拡張が心臓抑制よりも低い濃度から現われた.2)心筋酸素消費はdilazep,dipyridamoleでは多少減少する傾向が見られたが,hexobendineではほとんど変化が見られなかった.3)Dilazep,hexobendine,dipyridamole何れも外因性adenosineの作用を増強せしめた.この作用は,adenosineを動脈内注射した場合よりも静脈内注射した場合に,より顕著に認められた.4)心筋の酸化還元電位はhexobendineとdipyridamole投与により陽性化する傾向を示したが,dilazepではむしろ陰性化し,adenosineによる変化と門致した.しかしいずれの場合にも変化は有意ではなかった.5)モルモット心筋を血流遮断,酸素不足の状態でincubateした場合に見られる心筋高エネルギーリン酸化合物の減少は,dilazep,hexobendine,dipyridamoleによっていずれもやや改善される傾向を示した.また,いずれの場合にも心臓内に,adenosineの有意な蓄積が認められた.
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